経営分析ツールとは? ~メリット・選定時のポイントなどをわかりやすく解説~(vol.105)

  • 公開日:2023.12.04

企業の経理が行う業務は、日々の取引の記録や監査・財務状況を示すレポートの作成といった定型業務の他、社内外に提出する会計報告資料の作成、予算策定や資産管理、会計監査など、非常に多岐に渡ります。昨今はそういった日常業務に加え、企業の経営分析を行い、必要な情報をタイムリーに経営層に提示することも経理の重要な役割として求められるようになってきました。

そこで本ブログ記事では、経理業務を高度化・効率化する「経営分析ツール」のメリットやツール選定のポイントなどを解説します。

経営分析ツールとは? ~経理業務の理想を実現するツール~

そもそも経営分析とは、経営成績や財務状況などの経営データを確認し、自社の経営状態を分析することを指しており、最近では、業務で多くのデータを扱い正確性などの観点を持っている経理に期待される役割となってきています。
経営分析ツールとは、経営成績や財務状況などの経営データの分析を効率化・高度化を実現するためのITツールを指し、案件や収支などの様々なデータを集約し、ビジュアルに表現する機能や経営における課題の発見などの機能を持っています

経営分析ツールが求められる背景として、既に多くの業務を実施している経理に、会社の現状を分析するという役割も期待されるようになってきたことが挙げられます。
一般的に、経理は企業の財務を適切に運用するためにデータを記録・監査する部門です。日々の取引情報を正確にシステムに入力、記録し、各種報告書の作成をすることが主な業務となりますが、その他にも予算策定や、税務申告や監査対応、決算報告などといった業務も経理の役割になります。これらの業務はいずれも正確性が求められることが多く、決められた手続きに従って期限内に完了することが必要です。こういった経理業務を行うにあたって、基本的な会計基準の理解や、財務取引を適切に処理できる知識はもちろんのこと、企業の取引をシステムに正確にデータとして扱うスキルも求められています。
それらに加え、日々の企業の取引に携わり正確なデータを見る観点を持っている経理は、昨今、経営層に対して正確な会社の現状を分析し、タイムリーな気付きを報告するといった経営分析といった役割も期待されるようになってきました。

しかし実際には、経理がそこまでの役割を十分に果たせている企業はそう多くないことかと思います。その理由は、ただでさえ普段の業務量も多い上に、決算期などの多忙な時期も定期的に訪れる経理が、経営層の期待するようなデータをタイムリーに提出できるような時間的余裕があまりないことが原因にあるようです。
そのため経営判断に役立つスキル・観点を持つ経理への期待はありつつも、現実は毎月決められたExcelの固定フォーマットに経理がデータを手作業で転記・サマリし、コメントを入れた経営レポートを作成、月次の会議資料とするのが精いっぱいという企業も多いのではないでしょうか。

そこで次章では、経理業務をIT活用することで高度化・効率化する方法について解説します。

経営分析ツールのメリットとは? ~経理業務をIT化するメリットとは~

昨今、経理業務はITを活用することで業務の変革を実現する事例が増えてきています。
例えば、他システムから基幹システムへの仕訳データやマスタ情報の自動連携などが挙げられます。近年ではそれらに加え、従来システム化が難しかった経理業務の領域についても、RPAやAI-OCRを用いることで自動化が進められるようになってきました。
もちろん、監査対応や予算策定のような自動化が難しい業務も残ってはいますが、そういった業務でも判断材料となる情報を参照するためにシステムを活用する場面が増えてきました。それにより、経理が従来行っていた定型業務は大幅に自動化・効率化され、その分、経営分析業務に費やせる時間・環境を整えることが可能となったのです。
このようにIT・システムを活用した仕組みや既存業務の置き換えなどをしていくことで経理業務の効率化に臨むことができます。
つまり、経営分析という部分でもITを活用することで、同様に効率化・高度化を目指すことが可能となります。

経営分析ツールを導入するメリットとして、大きく次の3点が挙げられます。

  • 経営層にとってのメリット:インサイトの獲得
    ビジュアルなグラフを見ることで、直感的にインサイトを得られる
  • 経理部門にとってのメリット:経営層への報告業務の効率化
    データ分析の結果とその根拠を分かりやすく簡潔に説明できる
  • 現場の社員にとってのメリット:様々なデータの現場活用
    サマリしたデータからすぐに詳細なトランザクションデータに同画面内でドリルダウンして容易にアクセスできる

特に経営層に対しては、既存の経営会議などの定期的な場面で見ている指標が同じようにシステムで確認できるだけでなく、更新データが反映され速報値が確認できるダッシュボードや、チャートやマップのようなビジュアルな表現でデータを参照できるツールを用いることで、より直感的にインサイトを獲得することができます。

また、経営分析ツールを活用することで、従来とは異なり、経理が手作業で収集したデータをExcelに統合してレポートを作成し、紙で資料を印刷することなく、個々人が自身の端末で経営分析ツールを自由に使いながら、経営会議を開催できるようになります。

さらに、経営分析ツールの利用を促進し、経営データの見方や活用を社内に広めることで、従来は分析結果だけを共有されていた社員は、その過程や根拠も自身で確認することを習慣化する良い契機となります。

では実際に経営分析ツールを導入する際に検討すべきことは何なのでしょうか。
次章では、経営分析ツールを選定するポイントについて解説します。

経営分析ツールの選定ポイントとは? ~経理業務を高度化するポイントとは~

経営分析ツールの導入にあたっては、どのデータを誰に、どのように見せるかを明確にすることが大切です。
先述の通り、データ同士の比較や指標での比較などをビジュアルな表現により、結果と根拠を経営層へスムーズに説明することが可能となります。
「経理や経営層だけではなく、企業の経営データを全社員にも公開したい」というニーズもよく聞きます。こうした運用を実現するには、レポートに参照権限を設定し、必要なデータが必要な範囲のユーザに届けられるようにすることや、ログイン方法などの検討によりセキュリティが保護されることが重要なポイントとなります。

例えば、ERPシステムをリプレイスするタイミングで、既存の業務をシステムに合わせるための見直しを行い、併せて経営分析ツールの導入も併せて検討するケースも少なくないかと思います。
ERPシステムの更新などのタイミングで経営分析ツールを導入したいと思っても、新たなERPシステムに関する変更事項の把握に手一杯となり、検討が前に進まないというケースも十分に起こり得ます。その際は、まずは既存の経営会議で参照する情報をシステムに置き換えることから着手しましょう。一度ですべてのレポートを経営分析ツールに置き換えるのではなく、段階的に経営分析に必要な要素を検証し、参照者に必要なデータを収集できるようにシステムを構築することで、経営分析データの利用を拡大していくといった導入ステップを採用することがベターな選択と成り得るでしょう。

ERPシステムのデータを活用した経理業務の高度化については、以下のブログに記載されております。興味がある方は是非、「SAPデータを活用した経理部門のDX推進のポイントとは?」のブログ記事をご覧ください。

まとめ

経理業務の改革については、ITを活用し、効率的な仕組み作りや既存業務の自動化など、できるところから取り組みをしていくことがポイントです。近年注目される経営分析業務においても、同じようにITを活用することで、高度化・効率化ができます。
また、経営分析ツールの導入を検討する際は、「どのデータを誰に、どのように見せるかを明確にする」ことで適切な導入が可能となります。

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・EMPHASIGHTご紹介ページ:https://erp.dentsusoken.com/solution/emphasight

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・EMPHASIGHT 基本ガイドブック:https://inv.dentsusoken.com/erp/guidebook/emphasight_2