本当に使える経営ダッシュボードとは?(vol.96)

  • 公開日:2023.06.05

「経営ダッシュボード」という言葉をよく耳にしますが、作成したダッシュボードを本当に経営判断に活用できているケースはどの程度なのでしょうか?

BIツールを導入し、ビジュアルなダッシュボードは作成したものの、「実は経営層は使っていない」 「時間経過とともに廃れてしまった」というケースは往々にして起こり得ます。それでは、“本当に使える”経営ダッシュボードにするには、いったい何が必要なのでしょうか?

本ブログ記事では、経営ダッシュボードを最大限に活用するためのポイントを解説します。

経営ダッシュボードとは?

経営ダッシュボードとは、企業内の分散されたデータを一元化し、経営判断に役立つ指標を可視化したダッシュボードのことを指します。
*ダッシュボードは、BIシステムや情報系システムに搭載されている機能や画面の中でも、ビジュアルで一覧性の高いもの指します。
*経営ダッシュボードは、経営コックピットと表現されることもあります。

「ERPシステムの導入=情報の可視化」と思われている方もいらっしゃいますが、ERPシステムはあくまでデータの蓄積までであり、情報の可視化を実現するには、経営ダッシュボードのような仕組みが必要不可欠となります。

本当に使える経営ダッシュボード構築のポイントとは?

せっかく経営ダッシュボードを構築しても、あまり活用されず、そのままほこりをかぶってしまうといったケースをよく耳にします。
では、そうならないための“本当に使える”経営ダッシュボードを構築する際のポイントは何なのでしょうか?

“本当に使える”経営ダッシュボード構築のポイント

  1. 複数システムとのスムースなデータ連携
    素早い意思決定を行うためには、経営ダッシュボードのデータは常に最新であることが求められます。そして、経営ダッシュボードのデータソースとなるシステムは、1つとは限りません。ERPシステムのような基幹業務システムが中心となりますが、その周辺システムや場合によってはExcelなどのデータを取り込む必要があります。そのため、複数システムとのスムースなデータ連携が必要となります。
    複数のシステムとのデータ連携が必要な場合は、EAIやETLツールを活用することが有効な手段となります
  2. 有用なKPI(指標)の定義
    せっかく経営ダッシュボードを構築しても、自社にとって必要なKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)でなければ、すぐに活用されなくなってしまうでしょう。
    まずは、自社にとって本当に重要なKPIを考える必要があります。
    経営層/現場マネージャー/担当者といった階層や部署/業務内容によっても求められるKPIは変わるため、それぞれに有用なKPIを定義することが必要となりますが、白紙の状態から作り上げようとしても上手くまとまらないことが多いのが実状です。
    経営ダッシュボードの中には、あらかじめKPIテンプレートが用意されているものが多く存在しますので、それらを活用すると良いでしょう
  3. メンテナンスしやすい仕組み
    経営ダッシュボードは一度構築したら終わりではなく、日々変化する世の中の情勢(外部環境)や経営方針(内部環境)に順応できるものでなくてはなりません。
    例えば、Excelのマクロで作られたレポートなどは、属人的であり、作成者がいなくなると改修ができず、そのまま放置されてしまうケースが散見されます。
    それを防ぐためにも、ある程度の追加/変更などは誰でもできるような汎用的な仕組みにする必要があります

経営ダッシュボードをより効果的に活用するためには?

構築時のポイントは前述の通りですが、活用のポイントは何なのでしょうか?
弊社がご提供している経営ダッシュボードの画面を例に解説します。

活用例1

一般的に、経営ダッシュボードにはビジュアルかつ多様なレイアウトが用意されており、それらを活用することで、より効果的なダッシュボードを作成することが可能です。
例えば、【図1】のように、トップ画面に重要なKPIをまとめて表示することで、画面遷移することなく、一目瞭然で情報の把握が可能となります。

【図1】

また、バブルチャートと呼ばれるグラフを使うことで、複数KPIをビジュアルに同時表現することが可能となります。
一般的に、地域/売上/利益/利益率のように4つのKPIを表現する場合、【図2】のような棒グラフと折れ線グラフを組み合わせたようなものが多いかと思います。
それを【図3】のようなバブルチャートで表現すると、バブルの色=支社、バブルの位置と大きさ=金額のように、より直感的に比較することができます。該当箇所をクリックすることで、明細までのドリルスルーによる分析も可能です。

【図2】

【図3】

活用例2

経営ダッシュボードの中には、単にデータの分析だけではなく、KPIにしきい値を設定することで、企業に潜む様々なリスク兆候の検知が可能なものもあります。
【図4】は支社別にそれぞれのリスク項目の数を表したヒートマップとなります。このヒートマップでは、次のリスク項目を確認できます。
・滞留債権
・在庫棚卸減
・在庫廃棄
・売上計上漏れ
・仕入先口座変更
・入金消込遅れ
・仮払金過大計上

このヒートマップを元に各支社のリスク項目を分析することで、問題を早期に発見し、対応策を講じることができます。

【図4】

まとめ

経営ダッシュボードは、企業内に蓄積された様々なデータを集約・可視化することで、経営の意思決定に役立つツールです。しかし、せっかく経営ダッシュボードを構築しても、あまり活用されず、そのままほこりをかぶってしまうといったケースも往々にして起こり得ます。

“本当に使える”経営ダッシュボードの構築には、次のポイントを抑えることが重要です。

  1. 複数システムとスムースにデータ連携できる仕組みをつくり、常に最新のデータを保持できるようにする。
  2. 自社にとって有用なKPIを定義する。
    その際は、ツールに用意されているテンプレートを参考にすることが有効な手段となる。
  3. 日々変化する情勢に対応できるよう、メンテナンスしやすい汎用的な仕組みにする。

経営ダッシュボードのビジュアルな表現力を活かすことで、より多くの情報の把握・分析が可能となります。
また、内部統制リスク兆候の早期発見など、より活用の幅を広げることも可能です。

弊社では、経営ダッシュボードツールとして「EMPHASIGHT」をご提供しております。
・EMPHASIGHT ご紹介ページ:https://erp.dentsusoken.com/solution/emphasight
・EMPHASIGHT 基本ガイドブック:https://inv.dentsusoken.com/erp/guidebook/emphasight_2

「EMPHASIGHT」は、経営改善に資する財務指標(KPI)テンプレートに加え、会計監査系コンサルティング会社監修のリスクシナリオを標準装備しております。
・ビジュアルなダッシュボードによる直感的な分析
・プリセットされた財務指標を利用することによる分析業務の効率化
・同一地域/類似事業の子会社間比較
・リスクシナリオに基づいたダッシュボードの定常モニタリングによる内部統制リスク兆候の早期発見
 などが可能なソリューションです。
経営分析業務の改善・効率化でお悩みの場合は、是非、弊社までお気軽にお問い合わせください。

*本記事は、2023年6月1日時点の情報を基に作成しています。
製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
https://erp.dentsusoken.com/inquiry/