SAP FI CO を用いたデータ分析とは?(vol.40)
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「SAP ERPを導入したが、データ利活用・データ分析は不十分」といったお悩みは、どの企業でも起きている問題かと思われます。
本ブログでは、FI(財務会計)・CO(管理会計)が持つデータをもとにBIでどのようなデータ分析ができるのか、一般的な実例(ご利用ケース)を交えながら解説していきます。
目次
SAP BI に期待されていること
「SAP MM SD PP を用いたデータ分析とは?(vol.12)」にも記載の通り、そもそもデータ活用を行うためには、「誰が」 「いつ」 「何を見て」 「どういった判断を行うか」 を整理することが必要不可欠となります。
今回のテーマであるFI(財務会計)・CO(管理会計)では、グループ会社を含めた全社の様々な社員がデータ分析を行う可能性があるため、特に「誰が」という切り口が非常に重要になってくると思われます。
例えば、部門のトップや管理者(=現場管理者)であれば、PLのような形式で部門別や時系列推移といった管理会計の観点からデータを分析したいといったニーズが多いのではないでしょうか。
また、(関係会社も含めた)経理部門であれば、BSや債権・債務といった情報を財務管理や内部統制などの観点から分析することが多いのではないかと思われます。
そして、経営トップの場合は、関係会社を含めた全社の会計数字を集約した経営指標をもとに経営判断に役立てていくことが求められているのではないでしょうか。
そこで今回は、「現場管理者」 「(関係会社も含めた)経理部門」 「経営トップ」 の3つの切り口から、それぞれの立場でFI・COのデータをもとにどういった分析が考えられるのかを解説します。
SAP BI による FI CO データ分析(現場管理者)
まずは現場管理者のケースについてです。
先述の通り、現場管理者の場合、PLのような形式で売上・費用・利益を中心としたデータ分析を行うことが多いのではないでしょうか。
そのためにまず必要となるのは勘定コードの情報になります。
それも、ただ単に勘定コードが羅列されているのではなく、売上高・販管費といった勘定の大分類やそれらを更に詳細化した中分類・小分類といった勘定の階層情報が必要となります。
また、分析の観点によっては-例えば管理費を中心に見ていくケースなども考えられるため-、勘定階層の情報を複数パターン用意できると便利です。
次に必要になるのは組織の情報になります。
SAP ERPであれば、セグメントや利益センタ・原価センタなどで組織の情報が設定されていると思われますが、こちらについても組織の階層情報の設定が不可欠となります。
組織階層の情報があれば、事業本部→事業部→部→課といったように階層をドリルダウンして分析を行うことができるほか、BIシステムを利用するユーザーに対して自身の所属する組織の情報のみを参照させる、といったデータセキュリティの設定に利用することも可能となります。
上記の基本的な内容が実現できた上で、最後に必要となるのは「実績情報と何かを比較する」という観点になります。
ただ単に集計されたデータを眺めるのではなく、何か基準となるものと比較をして差異が大きいところから細かな分析を行い次の打ち手を考えていく、ということがデータ分析を効率的・効果的に行うためには不可欠となります。
例えば、時間の観点であれば、「前月と比較した推移を確認」したり、「前年同月の実績をもとに前年同期比といった指標で確認」したり、といったことが考えられます。
また、予算の観点であれば、「予算差異をもとに分析」したり、「予算に対する実績の進捗状況を進捗率として分析」したり、といったことが考えられます。
SAP BI による FI COデータ分析(経理部門)
次に経理部門のケースについてです。
財務管理視点でBS、PLを見たいという場合、基本的にはSAP本体を参照すれば見たい情報が参照可能となりますが、「SAP ERPのライセンスを持たない関係会社のユーザーが、自社の切り口でデータを参照したい」といった場合に、BIシステムの利用を検討されるケースが多いのではないでしょうか。
(この点については、FI・COに限らないかとは思いますが……)
上記のケースでも必要になるのは、BSの勘定階層の情報と組織階層の情報になります。
また、BSについては、「時系列で推移を確認する」といった使い方も考えられるかと思います。
経理の観点では、上記の他に、AR(債権)・AP(債務)の分析が求められるのではないでしょうか。
明細レベルの確認であれば、こちらもSAP ERPそのものを見ればよいのですが、集計、分析を行うためにはBIを活用したほうが効率的です。
AP(債務)については、仕入先や支払予定月を分析軸においた支払予定表を用いた分析が考えられます。
AR(債権)については、回収予定や特に滞留債権の分析にBIを活用したいといったニーズが多いのではないかと思われます。
具体的には、縦軸に得意先、横軸に支払期日経過日数や滞留月数を置くことで、「得意先別に滞留債権がどれくらい発生しているのか」といった情報の確認ができるようになります。
SAP BI による FI COデータ分析(経営トップ)
最後に経営トップのケースについてです。
現場管理者や経理部門では、細かい数字まで確認が必要となるため、表形式で具体的な数値を見ながら分析を行うケースがほとんどかと思われます。
しかし、経営トップの場合、細かい数値はそこまで必要ではなく、百万円単位での金額の表示や、そもそも数字ではなくチャート形式などを組み合わせた、いわゆるダッシュボードの形で情報を出力するニーズが多いのではないでしょうか。
どういった情報をダッシュボードとして見せるのかは各社各様ではありますが、一般的な例を挙げると、以下の情報を出力するケースが多いように思われます。
- 売上高の時系列推移を表したチャート(折れ線グラフなど)
- 売上高総利益率
- ROA(総資産利益率)
- ROE(自己資本利益率)
- 債権回転期間
- 総資本
- 総資産
経営トップがどういった情報をもとに経営判断を行うのかについては、業種業態により見たい形が変わってくるため、他社の事例を参考にしつつ、自社の特徴を捉えた効果的なデータ分析の仕組みを構築していくことが重要になると思われます。
SAP BI 導入はじめの一歩
本記事では、SAP BIを活用したデータ分析について、FI・COに焦点を当て、一般的な実例(ご利用ケース)を交えながら解説しました。
本記事に掲載されている一般的な実例(ご利用ケース)に関して、実は電通総研が提供しているBIツール:BusinessSPECTREでは、その大半がすでにテンプレートとしてご用意されております。
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