SAP在庫データ活用方法とは?(vol.115)

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受注生産型ではない多くの企業において、在庫管理/在庫削減は常に重要なテーマです。
在庫がないと、販売機会を逃して売上/利益をあげることができなくなってしまい、逆に在庫を持ち過ぎると、保管場所を圧迫して売れ残って損失となってしまいます。

本ブログ記事では、日本の大企業で広く利用されているSAP ERPにおける在庫データ活用のポイントについて解説します。

*在庫管理の目的・課題/手法とSAPの在庫・購買管理(MM)モジュールについては「SAPでできる在庫管理とは?(vol.107)」で解説しておりますので、是非ご覧ください。

SAPの在庫データは難解

SAP ERPで在庫情報を照会する場合、どの画面/トランザクションであっても、品目を指定して照会する画面ばかりで、一覧性のある画面はほとんど存在しません。
また、特殊在庫区分(預託/受託/プロジェクト在庫 等)といった区分を指定しなければ、各種情報にアクセスできないといった特徴があります。
これらのことから、SAP ERPで在庫データを照合/分析するのは難解となっています。

実際のSAP ERPの画面は次の通りです。
SAP ERP 在庫状況照会 画面(トランザクションコード:MMBE) >

このように、在庫状況照会には、品目コードを指定して検索する必要があります。

また、特殊在庫(預託/受託/プロジェクト在庫 等)であるかを考慮しながら検索する必要があります。

SAP 在庫 データをSAP外部に出力して扱う際の注意点

前章の通り、SAP ERPの在庫情報をそのまま活用するには、少し難解であるといえます。
さらに、SAP ERPの在庫データを活用するうえで、次の2点に注意する必要があります。

【注意点1SAP在庫テーブルは大量に存在する!

SAP ERPの在庫情報は大量のテーブルで構成されています。

  • MARC プラント在庫 / MARCH プラント在庫履歴
  • MARD 保管場所在庫 / MARDH 保管場所在庫履歴
  • MCHB ロット在庫 / MCHBH ロット在庫履歴
  • MSLB 仕入先在庫 / MSLBH 仕入先在庫履歴
  • MSKU 得意先在庫 / MSKUH 得意先在庫履歴
  • MSKA 受注在庫 / MSKAH 受注在庫履歴
  • MSPR プロジェクト在庫 / MSPRH プロジェクト在庫履歴
  • MSSA 得意先未処理受注在庫 / MSSAH 得意先未処理受注履歴
  • MBEW 品目評価 / MBEWH 品目評価履歴
  • EBEW 受注在庫評価 / EBEWH 受注在庫評価履歴
  • OBEW 外注先評価在庫 / OBEWH 外注先評価在庫履歴
  • QBEW プロジェクト在庫評価 / QBEWH プロジェクト在庫評価履歴

これらのテーブルをひとつひとつ収集してデータ活用することは非常に手間であり、複雑です。

【注意点2】在庫移動が発生した際にしかレコードが作成されない!

SAP ERPの在庫データは、在庫移動が発生した場合のみレコードが作成されるようになっています。

例えば、トランザクションコード:SE16Nで保管場所在庫履歴(MARDH)のデータを照会した結果画面を見てみましょう。
毎月(在庫テーブルは会計期間ごとに)必ずレコードが存在しているわけではありませんね。

上図の場合、20053月のレコードはありません。これは、この期では在庫移動がなかったため、レコードが作成されていないことを意味します。20054月の「利用可能」は「125」 となっていますが、これは20054月まで利用可能な在庫数が125だったという履歴となります。

このように、SAP ERP上ではレコード数を増やさないように工夫されているものが、返って在庫データを活用する上では取り扱いを難しくしている側面があります。

そのため弊社では、SAP ERP外に在庫データを抽出し、活用する方法を推奨しております。

SAP在庫データ活用なら「VisAP

SAP在庫データは上述のような問題点があるのですが、弊社が提供している「VisAP」では、在庫データを分析しやすい作りとなっております。

【「VisAP」 在庫の主な特徴】

  1. レポートは様々な切り口で一覧性をもって在庫を確認可能
    ■プラント別在庫数量・金額


    ■保管場所別在庫数量・金額

    *SAPではプラント別にしか金額を保持しておりませんが、「VisAP」では、数量から按分して保管場所別金額を表示しております。

    ■品目グループ別在庫数量・金額

    ■品目別在庫数量・金額

  2. たくさんの在庫テーブルを分析/キューブ化しやすい1つのテーブルに集約
    前述の通り、在庫テーブルは下記のようにたくさんのテーブルで構成されています。
    MARC プラント在庫 / MARCH プラント在庫履歴
    MARD 保管場所在庫 / MARDH 保管場所在庫履歴
    MCHB ロット在庫 / MCHBH ロット在庫履歴
    MSLB 仕入先在庫 / MSLBH 仕入先在庫履歴
    MSKU 得意先在庫 / MSKUH 得意先在庫履歴
    MSKA 受注在庫 / MSKAH 受注在庫履歴
    MSPR プロジェクト在庫 / MSPRH プロジェクト在庫履歴
    MSSA 得意先未処理受注在庫 / MSSAH 得意先未処理受注履歴
    MBEW 品目評価 / MBEWH 品目評価履歴
    EBEW 受注在庫評価 / EBEWH 受注在庫評価履歴
    OBEW 外注先評価在庫 / OBEWH 外注先評価在庫履歴
    QBEW プロジェクト在庫評価 / QBEWH プロジェクト在庫評価履歴

    VisAPでは、分析しやすいように、また、キューブ化しやすいように上記テーブルを1つのテーブルに集約するといった処理を行っております。

  3. 在庫の穴埋め(レコード作成)処理可能
    前述の通り、SAPの各在庫テーブルは在庫移動が発生した時にしかレコードが作成されないため、データ活用する上では非常に扱いづらいデータとなってしまいます。
    VisAP」では、この歯抜け状態のレコードを生成し、各月の在庫が参照可能となるような穴埋め処理を行っております。

まとめ

ここまで、SAP在庫データの特徴とデータ活用上の問題点をご紹介いたしました。

  • SAPの在庫データは一覧性のある画面はほとんど存在しないため、在庫データを照合/分析するのは難解である
  • SAP在庫テーブルは大量に存在するため、収集してデータ活用することは非常に手間がかかる
  • 在庫移動が発生した際にしかレコードが作成されないため、在庫データの取り扱いが難しい

その問題点は、弊社がご提供している「VisAP」で解消されることについて解説いたしました。

最後に、「VisAP」のご紹介をさせていただきます。
VisAP」は、柔軟なアクセス権限設定で、部門ごとに見せる数字は制限しながらも、ノンプログラミングな自由分析を実現します。
さらに、200種類以上の豊富なレポートテンプレートで、導入後すぐに利用可能、レポートの開発工数を大幅に削減します。

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SAPデータ活用の各種お悩みに対して、解決のサポートが可能ですので、お気軽にお問い合わせください!
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