経理業務のDX化を実現するSAPソリューションとは?(vol.3)

  • 公開日:2021.02.08

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ニューノーマル時代への適応加速に伴い各企業での重要な取り組み課題となっています。
営業、企画、製造など様々な部門で検討がなされている一方で、経理などの管理部門における対応は遅れていると言わざるをえません。

本ブログでは、SAP移行を機にSAP S/4HANAを基盤とした経理業務におけるDXソリューションとその活用方法を解説します。

 経理業務におけるDXの現状

DX デジタルトランスフォーメーション」という言葉は2000年代初頭にヨーロッパの大学教授によって提唱されたとされていますが、そこから10数年経過した現在では一般にも広く認知されビジネスでは対応を急ぐ企業が多く出てきました。
各社様々な検討がなされているなか、経理部門におけるDXの対応状況はというと、営業・企画部門や製造・物流部門の取り組み状況とは異なっているようです。

経理部門におけるDXの対応状況についてCFO協会が行っている調査の結果は以下の通りです。
(出所:CFO協会サーベイ 経理・財務部門のデジタルトランスフォーメーションに関する実態と課題)

経理部門の業務においてデジタル化の必要性を感じるか?

→感じる:98%

→感じない:2

経理部門の業務におけるデジタル化の進捗状況は?

→デジタル化されている:26%

→デジタル化されていない:74

つまり、デジタル化の必要性は非常に感じているものの、実際にはうまく進んでいない、というのが現状になります。

経理業務におけるDX化のポイント

経理・財務の業務においてDXが適用できるタスクは多くあります。
経理業務の大まかな作業には、各所から起票される伝票のチェックをはじめとする日々の業務から消費税チェックや異常時チェックをはじめとする月次決算、各種決算資料や税務申告資料の作成を行う期末決算対応などがあります。
これらの作業の大部分がチェックや修正などの定型的な業務であることがわかります。

このように、ルールベースで定型的に実施されているタスクは、デジタル化の対象としやすく、工数削減といった指標でその効果を得やすいものになります。
DXを推進していくうえで、このような労働集約型の作業は、システムのテクノロジーを活用し、人間はより戦略的な業務(データ分析や評価、改善活動のサポートなど)にシフトしていく、ということがDX化のポイントとなると思います。

経理業務のDX化を実現するSAPソリューション

SAP S/4HANAでは、財務会計を中心に、販売・購買管理、生産・原価管理といった企業のコアビジネスを網羅するモジュールとして自身がDXソリューションを提供していることに加え、さまざま周辺DXソリューションと連携しています。

最初にご紹介するのが、SAP S/4HANAが提供する経理業務向け代表ソリューションである「Cash Application」です。
入金消込をマシンラーニングのテクノロジーを活用し自動化するソリューションとなります。

実際の業務では、お客様から請求に対する入金情報を受け、システムでルールベースの消込を行っているケースが多いかと思います。
ただ、このルールベース消込のヒット率が低いため、システムで消し込めなかったものを担当者がマニュアルにて消込対応しているのが現状です。
また、入金消込業務自体がシステムを介さずマニュアルで実施されている場合もあるでしょう。
マニュアルでの入金消込は、振込人の情報が不足していたり、手数料・消費税計算方法を確認しなければならなかったり、一部入金・合算入金で計算が必要であったりなど非常に労力のかかる作業となります。

このような状況に対しCash Applicationでは、マシンラーニングエンジンを使用しこれまでの消込履歴やマスタとなる情報を学習したうえで、自動的にマッチング提案と消込を行います。
業務担当者の実際の消込履歴から学習することで自動消込率を高め、マニュアル作業の多くを自動化することで担当者の職務範囲を広げるDXに貢献します。

経理業務のDX化を実現するSAPソリューション②

続いてご紹介するのが、SAP S/4HANAの統合UIであるSAP Fioriです。
SAP S/4HANAUIとして様々アプリケーションの入口を提供するとともに、PCやスマートフォン、タブレットなどさまざまなデバイスで使用できるマルチデバイスに対応しています。

技術的な特徴をお話しすると、1つのソースコードで異なるサイズのデバイスに対し画面が自動調整される技術であるレスポンシブデザインであることが挙げられます。
つまり、画面を1つ作ればさまざまなデバイスで利用できるため、開発時の生産性が高いといえます。
もう一つの特徴は、HTML5JavaScriptCSSといったオープンな技術が採用されている、という点です。
技術者に馴染みやすい言語で画面がカスタマイズできるというメリットがあります。

SAP Fioriを業務のフロント機能とすることで、モバイルでの入力やチェック業務、ワークフロー申請、承認などを実施することができます。
実際に、弊社のお客様では約2年前にSAP S/4HANAを導入され、経理、財務部門のリモートワークを積極的に実施されている事例もあります。
ペーパーレス化および働き方改革の推進をシステム導入の目的とされているお客様には、ぜひご活用いただけるソリューションとなっています。

経理業務のDX化を実現するSAPソリューション まとめ

冒頭でもお話しした通り、企業での経理部門におけるDX化の取り組み状況は、残念ながら遅れていると言わざるを得ません。
経理の業務は、ビジネスやITシステムのいわゆる最終工程であるため、DX化は自らが率先して取り組んでいくことが難しいトピックです。
しかしながら、今後は自らがDX化をリードし、より戦略的な業務部門へとシフトすることが期待されております。

これまでにご紹介したS/4HANAをはじめ様々な周辺ソリューションが、経理業務のDX化を実現いたします。
経理業務のDX化をご検討の際は、ぜひソリューションパートナーとして弊社電通総研にお声掛けいただけますと幸いです。