SAP認定コンサルタント資格とは? ~種類・ パートナーランキング・新プログラムをご紹介~(vol.76)

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ERP Central Component(以下、ECC6.0のメインストリームサポート終了が2027年に迫り、各SAPユーザー企業のSAP S/4HANA移行プロジェクトが活況となっています。その一方、移行プロジェクトで必要なSAPコンサルタントの人材不足が大きな問題となっており、SAPコンサルタントの価値が高まってきています。

そこで本ブログでは、SAP関連プロジェクトに従事する上で取得が推奨されているSAP認定コンサルタント資格について、資格の取得方法や学習方法、新しくなった認定資格プログラム「Stay Certified」などについて解説します。

SAP認定コンサルタント資格とは?

SAP認定コンサルタント資格とは、SAP社が実施している認定試験の合格者が得ることができるコンサルタントの資格であり、SAPシステムに関する知識と技術を習得していることを公式に認定する資格です。SAPシステムの導入やSAP S/4HANAコンバージョンなどのSAP関連プロジェクトに従事する場合、この資格の習得が推奨されています。

  • SAP認定コンサルタントとして、世界中で通用する技術や知識を有していることが認知される
  • SAP関連プロジェクトでユーザー/パートナー企業から信頼を得ることができる
  • SAP認定コンサルタント資格を取得する過程で得たスキル/知識を現場で活かせる
  • 収入アップやキャリアアップにつながる

昨今、SAPエンジニアの人材不足は深刻化しており、SAP認定コンサルタント資格を取得することで、市場に置ける優位性を確立することができ、報酬面で優遇される可能性があります。
敷居の高い業界という印象を持っている方がいるかもしれませんが、未経験者でもSAP認定コンサルタント資格を保有していることで、採用などに有利に働く可能性があります。

最近ではオンライン学習が可能ですし、SAP認定コンサルタント資格を取得するための情報も検索すれば知ることができます。難易度は高いかもしれませんが、学習することは誰でも無料でできるので、是非、皆さまも勉強して資格取得を目指していきましょう。

SAP認定コンサルタント資格の種類

SAP認定コンサルタント資格の種類やレベルにはどのようなものがあるのでしょうか?
SAP認定コンサルタント資格には、SAP ERPの各モジュールをはじめ、ABAP、SAP Fiori、SAP BTP、SAP Ariba、SAP SuccessFactors、SAP Signavioなど資格があります。
SAP認定コンサルタント資格は、次の3種類のレベルに分かれています。

  • アソシエイト認定資格
    SAPの幅広いソリューションの基本的な知識とスキル要件をカバーしているかを測る認定資格
  • スペシャリスト認定資格
    アソシエイト認定資格に加えて、各モジュールの具体的なスキルや知識に焦点を当てている認定資格
  • プロフェッショナル認定資格
    実プロジェクト経験や実業務プロセスに関する知識など、SAPソリューションに関する詳しい理解を必要とする高度な認定資格

また、SAP ERPはソフトウェア製品であるため、ソフトウェアのバージョンアップに応じて、新しいバージョンの認定資格もリリースされます。サポート期間内のソフトウェアバージョンについての認定資格であれば有効ですが、サポート期間外になってしまった場合は、最新バージョンの認定資格を取得する必要があります。
最新のERP製品であるSAP S/4HANAでは、①SAP S/4HANA(On-Premise)、②SAP S/4HANA Cloud Private Edition、③SAP S/4HANA Cloud Public Editionの認定資格が提供されており、(2024年5月時点では)①と②は2年に1回、③は年2回、メジャーバージョンアップが行われるため、それに伴いそれぞれ新しいバージョンの認定資格もリリースされます。
※③の認定資格については、「Stay Current」という仕組みで差分のみ出題される試験に合格することで、認定資格の更新が可能となります。

認定試験一覧についてはこちらをご覧ください。
https://training.sap.com/certification/validity

SAP認定コンサルタント資格の受験方法

SAP認定コンサルタント資格を受験するためには次の手順が必要となります。

  1. SAP公式サイト(SAP Training and Adoption)より、SAP Global Certification Online Exam(CER006)という受験チケットの購入する
    このチケットは購入時から1年間有効で、受験回数に応じて1回分のチケットか6回分セットのチケットを購入することが出来ます
  2. 上記の公式サイトからアクセスできるCertification Hubにて取得予定資格の試験予約を行う
    30分単位で時間指定が可能です。試験予約が混み合うと希望時間での受験が出来ない可能性があるため、余裕を持った試験予約を推奨します。
  3. 予約を行ったCertification Hubからオンライン試験を開始する
    受験時間が近づくと、予約リスト画面から受験開始ができるようになります。
    オンライン形式の試験のため場所は自由ですが、不正を防ぐためWebカメラ/マイクをオンにし、試験監督とコミュニケーションを取ったり、机上に受験用PC以外何も置いていないことを証明する必要があるので、所属会社の会議室等の利用を推奨します。また、試験監督とは英語でコミュニケーションを取る必要があるので注意が必要です。

SAP S/4HANA や RISE with SAP って、正直何ができるの?
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SAP認定コンサルタント資格の学習方法

SAP認定コンサルタント資格の取得に向けた学習方法としては、次の2種類の方法があります。

  • SAP Learning Classを受講する
    SAP Learning Classとは、SAP社が提供するトレーニングサービスで、経験豊富なSAP講師から試験合格に直結する知識やスキルを学ぶことが出来ます。また疑問点があれば、すぐに講師に質問できるため、効率良く知識を定着させることが出来ます。現在、SAPラーニングセンターで実施される対面型トレーニングとリモートでのオンライン形式のトレーニングが提供されています。SAP公式サイト(SAP Training and Adoption)より申し込むことが可能です。
    SAP社のトレーニング例)
      SAP Certificationhttps://training.sap.com/certification/
      SAP Traininghttps://training.sap.com/
  • 独学で学習する
    独学で学習するにはSAP Learning Hubを用いた学習がおすすめです。
    SAP Learning HubとはSAP社が提供している有料の学習コンテンツで、24時間365日いつでも自分の好きなタイミングで学習を進めることが出来ます。
    ※SAP Learning Hubについては、「SAPを学習するには? ~SAP Learning Hubのすすめ~(vol.75)」で詳しく解説しているので、是非、こちらをご参照ください。

以上、2種類の学習方法をご紹介しましたが、これらの方法で学習した内容を定着させるには、実プロジェクトの中でSAPに触れることも非常に重要です。実プロジェクトにおいて実際にSAP上でどのように操作を行うのかを確認し、SAPトレーニングや独学で学習した知識をさらに定着させることが出来ます。

SAP認定コンサルタント資格では同じソフトウェアバージョンの試験は3回までしか受けることが出来ません。そのため、3回不合格となった場合は次のソフトウェアバージョンがリリースされるまで受験ができなくなってしまいます。そのような事態に陥らないためにも、上で挙げている学習方法などでしっかりと試験合格に向けた準備をしましょう。

SAP認定コンサルタント資格 パートナーランキング

SAP社は、パートナー別にSAP認定コンサルタント資格取得数を公開しています。
次のサイトに掲載していますので、ぜひご覧ください。

パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数

https://www.sap.com/japan/documents/2023/05/04e9b33b-727e-0010-bca6-c68f7e60039b.html

ちなみに表のカテゴリは下記のようになっています。

SAPコンサルティング資格取得数ランキングTOP20   20244月末現在

1位 アビームコンサルティング  5,453

2位 富士通※グループ総数3,187

3位 アクセンチュア 3,166

4位 日立製作所1,517

5位 デロイトトーマツコンサルティング1,391

6位 PwCコンサルティング1,385

7位 日本アイ・ビー・エム1,307

8位 NTTデータ ※グループ総数 1,273

9位 SCSK ※グループ総数 1,050

10位 コベルコシステム 855

11位 EYストラテジー・アンド・コンサルティング  755

12位 TIS  723

13位 FPTジャパンホールディングス ※グループ総数 525

14位 伊藤忠テクノソリューションズ※グループ総数 498

15位 コムウェア 380

16位 日本システム技術 307

17位 テクノスジャパン307

18位 クレスコ・イー・ソリューション 303

19位 日鉄ソリューション 296

20位 YE DIGITAL 286

SAP業界を代表する企業が名を連ねており、SAPビジネスとSAP認定コンサルタント資格の取得数が重要であることがわかります。

新SAP認定資格プログラム 「Stay Certified

SAPの認定資格は20244月より、新たな「Stay Certifed」プログラムへ変更されました。SAP社は変更の理由として、定期的な認定資格の有効性評価を行うことで、既存のSAP認定資格の有効性に加え、最新のイノベーションスキル習得による資格者の優位性を担保することとしています。

また大きな変更点として、次の3点をあげています。

  • 継続的な認定資格の有効性
    認定資格者は、コースやライブセッションで最新のコンテンツを利用して、進化する製品およびソリューションの最新情報を常に入手できます。資格の有効期限が切れる前に、差分知識の評価に合格することで、認定資格の有効性を維持することができます。
    *既存認定資格の有効期限: 2025331
  • 12ヶ月毎の有効期間
    12ヶ月毎の有効期間認定資格者は、有効期間内に「SAP Learning サイト」及び「SAP Learning Hub」を通じて、認定された知識および最新の付加知識の有効性について評価を受けることができます。これを満たすことにより、保有する認定資格が12ヶ月間延長されます。
  • パーソナライズされた学習体験
    認定資格の有効性評価についてパーソナライズされた電子メールが送信されるため、有効期限を逃すことはありません。認定資格の有効性評価では、ロールや業界とテクノロジーのアップデートに焦点を当てています。

Stay Certifed」プログラムの詳細につきましては、下記サイトをご参照ください。

まとめ

SAP認定コンサルタント資格とは?~種類・パートナーランキング・新プログラムをご紹介~」と題しまして、SAP認定コンサルタント資格について解説して参りました。

電通総研はSAP認定コンサルタント資格の取得を推進し、電通グループでは105件の資格を取得しています。お客様に安心してプロジェクトをお任せいただけるよう、社員のスキルアップを図り、今後もSAP社とのビジネスを深めてまいります。

電通総研は、SAPパートナー・パッケージ・ソリューションの承認を取得している「SAP S/4HANA移行トータル支援サービス」をご提供しております。SAP S/4HANAへの確実な移行を支援するサービスであり、アセスメントから移行本番までのプロジェクトについてワンストップでご支援させていただきます。

SAP S/4HANAへの移行をご検討の際は、是非、電通総研へお声掛けください。
https://erp.dentsusoken.com/solution/sap-s4hana-assessment/

本記事は、2024531日時点の情報を基に作成しています。
製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
https://erp.dentsusoken.com/inquiry/