SAP Basis(ベーシス)とは 主要機能やコンサルタントの業務内容を解説(vol.117)
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SAPシステムには、会計・ロジスティクス・人事管理等、多数のアプリケーション(モジュール)が存在します。
また、このアプリケーションが正常に稼働できるようSAP Basis(ベーシス)と呼ばれるミドルウェアが存在しますが、アプリケーションと比較すると知名度は低く、あまり馴染みがないと思います。
本記事では、SAP Basis初学者に向けて、SAP Basisの基礎知識と運用および移行におけるSAP Basisコンサルタントの業務について解説します。
目次
SAP Basis(ベーシス)とは?
SAP Basis(ベーシス)とは、一言でいえばSAPシステムの基盤となるミドルウェアです。
SAP システムでは、OS(オペレーティングシステム)上に直接アプリケーションを構築するのではなく、専用のミドルウェア上にアプリケーションを構築することが特徴です。このミドルウェアがSAP Basis(ベーシス)なのです。SAP BasisはアプリケーションとOSおよびデータベースの通信を担っています。
SAP Basisは、現在では「SAP NetWeaver Application Server(以下、SAP NetWeaver)」という名称に変更されていますが、名称変更前からの名残でSAP Basisと呼ばれています。
SAP NetWeaverは、SAP Basisの機能にHTTP/HTTPSプロトコルのサポートやシングルサインオン(SSO)等の機能を統合した、統合技術プラットフォームとして利用されています。
以上、SAP Basisの概要について解説しました。続いて、機能や役割に焦点を当てて解説します。
SAP Basis(ベーシス)の主要機能と役割
SAP Basis(SAP NetWeaver)の主要な機能と役割について、抜粋して解説します。
- 移送管理
SAPシステムでは開発機・検証機・本番機の3つの環境を使ってシステムの変更を管理する、3ランドスケープという構成が推奨されています。この3つの環境間でカスタマイズ等の変更点を共有・反映するために「移送」が実施されます。SAP Basisでは、この移送の作成・監視・管理を実施してプログラムや設定の変更を正しい順序で反映し、システムの整合性を保っています。
※ご参考ブログ「SAPシステムの移送とは?システム構成・移送方法を解説(vol.114)」 - データベース管理
SAP ECC6.0までは、SAP社の提供するデータベースであるSAP ASEやSAP MaxDBだけでなく、Oracle DataBaseやMicrosoft SQL Serverなどのサードパーティが提供するデータベース上でも稼働が可能でした。データベースは製品ごとにSQLの文法や機能、セキュリティモデルなどが異なります。このような違いが、アプリケーションの動作に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。SAP Basisは、データベースの製品ごとの違いに対して、設定の最適化などにより影響を最小限に抑えるように設計されています。 - パッチ管理と適用
SAPシステムでは、不具合修正や機能追加のためにパッチが発行されます。パッチは主にSAP Note、SP(Support Package:複数のSAP Noteをまとめたもの)、SPS(Support Package Stack:複数のSPをまとめたもの)、FPS(Feature Package Stack)が存在します。SAP Note、SP、SPSはそれぞれ不具合修正のためのパッチであり、FPSは不具合修正に加えて機能拡張を実施するためのパッチです。SAP Basisの機能によりシステムの整合性を維持し、パッチの適切な適用によってセキュリティや性能を最適化しています。
以上、SAP Basisの機能や役割の概要を解説しました。続いて、SAP Basisコンサルタントの業務について解説します。
SAP Basis(ベーシス)コンサルタントの運用業務
SAP Basisコンサルタントとは、SAPシステムが安定して稼働できるよう技術的に支援する専門家です。SAPシステムのアプリケーションを安定稼働させるために、SAP Basisは適切に運用される必要があります。
ここからはSAP Basisコンサルタントが実施する運用業務について抜粋して解説します。
- システム監視とパフォーマンス管理
SAP Basisコンサルタントは、SAP Solution ManagerやCCMS(Computer Center Management System)といった監視ツールを使用して、CPUやメモリなどのサーバリソースやアプリケーションのワークプロセス、バッファ使用率を継続的に監視し、システムの稼働状況を管理します。これらのツールはシステム異常時に自動的にアラートを発信するため、常にシステムを手動で監視し続ける必要がなくなります。また、システムパフォーマンス情報を収集・分析し、その結果に基づいてパラメータの最適化を行います。 - ジョブ管理
SAPシステムでは、ユーザが手動で実行する必要のない処理を、設定したタイミングで自動的に実行する「ジョブ」が存在します。ジョブの適切な計画や設定により、システムへの負荷を低減しながら効率的に処理を実行します。SAP Basisコンサルタントは、ジョブが失敗した場合にログを解析し、修正を実施します。なお、アプリケーション担当者へ修正を依頼する場合もあります。 - ユーザ・権限管理
業務要件や人員変更に伴うユーザアカウントの作成・更新・削除を実施します。また、ユーザアカウントの作成に伴う業務要件に応じた適切な権限の割り当てや、パスワードルールの設定、不正アクセス防止のためのアクセス制御を実施します。 - パッチ適用
セキュリティ強化やバグや不具合の修正を目的としてパッチ適用を実施します。適用するパッチは、前述のSAP NoteやSP、SPSです。
SAP Basisコンサルタントはパッチの内容を詳細に確認し、業務およびシステムの要件と照らし合わせます。運用対象のSAPシステムに対して、パッチ適用が必要か否かの判断から計画策定、適用まで実施します。
以上、SAP Basisコンサルタントの運用業務について解説しました。続いて移行業務について解説します。
SAP Basis(ベーシス)コンサルタントの移行業務
2027年のSAP ECC6.0のメインストリームサポート終了を受けて、SAP ECC6.0からSAP S/4HANAへ移行する企業が増えています。ここからは、SAPシステムの移行(主にコンバージョン)にてSAP Basisコンサルタントの業務を、以下に抜粋して解説します。
- システムコピー実行
SAPシステムの移行では、現行SAPシステム(SAP ECC6.0)をコピー用環境にコピーしてからS/4HANAに移行します。この際、SAP Basisコンサルタントはシステムコピーの準備としてコピー用環境を構築します。その後、SWPM(Software Provisioning Manager)というSAP標準ツールを用いてシステムコピーを実行します。 - SI-Check実行
S/4HANAでは、SAP ECC6.0から使われなくなったデータモデルや機能を表す簡素化項目(Simplification Item)が定義されています。SI-Check(Simplification Item Check)では、現行のSAP ECC6.0からS/4HANAへ移行する際に、簡素化項目に基づいて現行のデータや設定、アドオン等がS/4HANAの要件に適合するかを検証します。
SAP BasisコンサルタントはSI-Checkの事前準備として、SI-Check実行に必要なSAP Noteを適用します。その後SI-Checkを実行し、実行結果を取得してSAPシステムのアプリケーション担当者に連携します。 - SUM実行
SUM(Software Update Manager)はSAPシステムのアップデートやアップグレード、コンバージョンで利用されるSAP標準ツールです。SAP BasisコンサルタントはSUM実行にあたり、顧客要件に応じた移行シナリオの選択や、SUMで設定する各種プロセス数の調整を実施します。
以上、SAP Basisコンサルタントの移行業務について解説しました。最後に、本記事の内容をまとめます。
まとめ
本記事では、SAPシステムの基盤であるSAP Basis(ベーシス)について、その概要から主要な機能・役割、そしてコンサルタントが担う運用・移行業務まで解説しました。SAP Basisはシステムの安定稼働や円滑な移行に不可欠な存在です。今後、さらに学びを深め、実務に活かしていただく一助となれば幸いです。
弊社は多数のSAP Basisコンサルタントが在籍し、SAP S/4HANA移行の実績やノウハウを蓄積しています。
SAP S/4HANAへの移行をご検討の際は、是非弊社電通総研にお声がけください。
お問い合わせ|電通総研 SAP SOLUTION
*本記事は、2025年2月1日時点の情報を基に作成しています。