SAP Ariba とは? Aribaを用いた購買フローや最大のメリットを解説!(vol.113)
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ビジネスにおいて重要な業務のひとつに購買業務が存在します。数多くの業種に製品を作るための部品の調達や、サプライヤーとバイヤーとの仕入作業が購買業務です。その購買業務を効率化するために購買システムやソリューション・サービス導入を検討する企業が増えています。その代表的なものがSAP Aribaです。
本ブログ記事では、SAP Aribaを利用する際の購買業務の流れをご説明しながら、SAP Aribaの最大の強みを解説いたします。
目次
SAP Ariba とは、購買システムのこと?
SAP Aribaは、電子調達/契約管理/サプライヤーからの請求書処理などの電子化 といった購買管理を行うためのSaaS型Webシステムです。
2012年にSAP社がAriba Inc.を買収して以来、SAP社のソリューションポートフォリオの一角となりました。SAP社の提供するシステムであるため、SAP社のERP製品との連携機能も豊富に備えられています。
また、SAP Aribaを他企業と連携するための「SAP Business Network (旧 Ariba Network)」には、190カ国 / 800万を超える企業が参加しており、電子購買の分野では世界一のシェアを持っています。「Ariba=購買システム」というイメージが定着していますね。
SAP Business Network (旧 Ariba Network)とは?
本題に入る前に、少しSAP Business Networkについてご説明いたします。
SAP Business Network (旧 Ariba Network)とは、SAP Aribaを用いた購買業務を繋ぐためのネットワークのような存在ですが、SAP Business Network自体が独立したWebシステムを保持しています。そのため、仕入先側はSAP Business Networkを導入する必要は無く、SAP Business Networkに加入さえすれば、SAP Business Networkの画面上で、注文者側から送信された各種依頼や通知を参照することが可能です。
また、SAP Aribaからの注文はSAP Business Networkに加入している仕入先しか利用できないというわけではありません。メール等の手段を用いてSAP Business Networkに加入していない仕入先と購買業務を進めることも可能です。
なお、2021年6月2日のSAP社プレスリリース で、Ariba NetworkをSAP Business Networkに統合することがされました。
旧 Ariba Networkのサービス名称とSAP Business Networkでのサービス名称の対比は、こちら のWebページをご確認ください。
SAP Aribaを用いた購買業務の流れ
SAP Aribaを用いた購買業務の流れを記載します。状況に応じて購買処理の順番は前後しますが、一例として参考にしてみてください。
また、承認関連は基本的に記載を割愛していますが、ほぼ全てのAriba上の処理では動的な承認フローを設定可能です。そのため、注文した物品の価格や種類に応じて承認者を変更するなど、都度適切な承認フローを自動生成することができます。
- 仕入先と契約を結ぶ
SAP Aribaでは契約関連の管理も可能です。詳細な流れは割愛いたしますが、「DocuSign(ドキュサイン)」のような電子署名システムと併せて利用することも可能なため、全てオンライン上で処理を完結できます。 また、この際に年間の取引量や価格の条件を定めておき、後に購買依頼をする際、その条件に応じてシステム上で制御することも可能です。 - 見積依頼を出す
仕入先を指定して見積依頼を出します。SAP Business Networkに参加している仕入先であれば、SAP Business Network上で見積依頼を参照し、見積回答を提出できます。また、SAP Business Networkを利用していない仕入先に対しても、メール等を用いて見積依頼を出すことも可能です。
また、指定する仕入先の数は任意です。そのため、複数社の見積を取って比較したり、それに応じて仕入先を新たに拡張したりということも容易に可能です。 - 購買依頼・購買発注を出す
受領した見積を元に購買依頼を作成し、購買発注情報を仕入先に送付します。見積と同様、SAP Business Networkに参加している仕入先は、SAP Business Network上で購買発注を参照でき、注文を受領するかの回答(諾否回答)もシステム上で可能です。 - 発注した物品を受領する
仕入先から出荷通知を受領することもSAP Business Network上で可能です。実際に物品を受領後、検品を行い、問題無ければ検収処理をSAP Ariba上で実施し、その結果が仕入先に通知されます。 - 請求処理を実施する
仕入先がSAP Business Network上で請求データを作成し、送信します。送信された請求関連のデータもAriba上で参照可能です。
このような購買業務流れをSAP Aribaを活用すれば効率化できれば、調達に関わるみなさんの生産性を向上させることができるでしょう。
SAP Aribaで対応が難しいケース
調達業務の生産性向上が期待できる電子購買システム:SAP Aribaですが、システム設計上、対応が難しいケースも存在します。下記に代表的な例を記載します。
- 電子購買システム上での在庫管理が必要な場合
SAP Aribaには在庫管理の概念が存在しません。そのため、例えば「在庫の数が一定数を下回ったら自動的に発注を行う」といったことは対応が不可能です。
- MRP(Manufacturing Resource Planning、資材所要計画)に対応する必要がある場合
在庫管理の概念が存在しないため、MRPに応じた自動発注なども同様に対応が不可能です。MRPへの対応が必要になるような大規模な直接材の調達などは、SAP AribaよりもSAP ERP側で行った方が円滑に業務を遂行出来るでしょう。
SAP Aribaの最大のメリット
では、このような購買業務の流れの中で、SAP Aribaが最も力を発揮できるのはどこの部分なのでしょう? SAP Aribaの最大のメリットをご紹介いたします。
- 見積依頼を複数仕入先から容易に選択できる
SAP Aribaの最大の強みはSAP Business Networkに加入している仕入先の数です。日本の商習慣ではどうしても特定の仕入先に偏りがちで、見直しをする機会がなかなか訪れないこともあるかと思います。 しかし、SAP Aribaでは複数仕入先から見積を取り、回答結果を比較することが容易に可能です。従って、新規の取引先の開拓、既存の仕入先の見直しが常に行えるため、購買業務のコスト削減に貢献することができます。 - 購買依頼を作成することの容易さ
SAP Ariba購買業務の大きな特徴に、社内で関わるユーザ数が多くなりやすいという点が挙げられます。間接材の場合など、普段購買業務にあまり携わらないユーザが購買依頼を出すケースもあります。しかしその際、操作画面が難解で理解しにくいものであると、依頼したいユーザ部門、購買部門の双方に大きな負担がかかってしまいます。
その点、SAP Aribaは、一般の通販サイトに極めて近い操作画面・UI/UXで購買依頼を容易に作成することできるので、初期の導入コスト・ランニングコストの無駄を削減可能です。
- SAPとの連携機能
SAP AribaはSAPの関連システムのひとつであり、連携機能が標準で用意されています。そのため、前述した購買業務のフローのうち、担当部門や業務都合で検収以降のフローはSAP ERP側で実施したいというケースに対応できます。また、請求処理のみSAP ERP側で実施したいという場合も対応が可能です。
また、SAP ERP側でも購買依頼を作成することがあり、使い分けをしたいというケースであっても、 SAP Aribaで作成したデータをSAP ERP側に連携し、一元管理が可能になります。SAP Aribaでは在庫管理やMRP対応ができないという欠点も、SAP ERPとの連携を用いれば解消することができます。業務の都合に合わせ、SAP ERPとSAP Aribaで役割を分担し、柔軟に対応することができるのです。
まとめ
さてここまで、「SAP Ariba とは? Aribaを用いた購買フローや最大のメリットを解説!」と題して、SAP Aribaを用いた購買業務の流れと特徴に触れながら、SAP Aribaの強みを解説して参りました。
まだまだ日本では知名度が低いSAP Aribaですが、購買業務の大きな助けとなる仕組みであり、SAP S/4HANAへの移行に応じて、徐々に導入する企業も増えてきています。
SAP S/4HANAの新規導入をご検討されている企業、もしくはSAP S/4HANAへの移行を検討されている企業は、これを機会に、SAP Aribaの導入検討をされてみてはいかがでしょうか。