SAPのBI機能に求められるポイント(vol.5)
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BIとはBusiness Intelligenceのことで、企業が有する膨大な量のデータを、分析・加工して経営分析に活用する手法のことを意味します。
また、データの分析・加工の際に使用されるツールのことをBIツールと呼びます。
SAP ERPにこのBI機能を導入するにあたって求められることは、大きく3つあります。
1つ目はデータの可視化、2つ目はレポートの作成、3つ目はレポートを読み解くことで経営分析の手段となることです。
本ブログでは、SAP BIに求められるポイントとして、上記に挙げた3つについて詳しく解説していきます。
SAPのBI機能に求められるポイント ①データの可視化
SAPのBI機能に求められるポイントの1つ目はデータの可視化です。
SAPはERP(Enterprise Resource Planning)システムの一つです。
ERPとは、企業活動に必要な基幹システムを統合し、1つにまとめたパッケージのことです。
SAPはERPシステムの1つであるため、日々の企業活動によってデータが蓄積していき、取り扱うデータ量が膨大になります。
SAP ERPの場合、財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、在庫購買管理(MM)など様々な業務領域のシステムを提供しています。
そのため、使用されるデータは会計や販売、在庫データなど幅広く、データの種類によって量や更新頻度も変わります。
例えば、会計のデータであれば日次や月次のデータが必要になりますが、在庫のデータであればリアルタイムのデータが求められるため、より細かい頻度で更新処理を行うことが必要になります。
これらの情報を適切なタイミングで、ユーザが目で見て判断できる状態にすること=データの可視化がBI機能には求められます。
さらに、ERPシステムの中でもSAP ERP特有の課題として、データベースにSAP ERP独自のデータが使用されているという問題があります。
SAP ERPのデータベースに格納されている列名や値は、SAP ERP独自の名称や式が使われています。
例えば、伝票明細のテーブルにおいて、会計年度は「GJAHR」という列名であらわされており、列名を一見しただけではどのような列なのか判断がつきません。
また、格納されている金額も日本円の場合は実際の金額の100分の1で格納されるようになっています。
このようにデータベースではSAP ERP独自のデータが使用されているため、レポート作成の際にデータベースを直接参照することが難しくなっています。
したがって、SAP ERP独自の形をしているデータベースを、私たちに馴染みのある形に変換して表示させる機能が必要であると言えます。
SAPのBI機能に求められるポイント ②レポートの作成
2つ目のSAPのBI機能に求められるポイントは、レポートの作成です。
膨大なデータを、馴染みのあるレポートの形でまとめることで、現状把握を容易に行うことができるようになります。
レポートの種類は様々で、例えば財務会計であれば損益計算書、在庫購買管理であれば在庫推移レポートなどがあります。
ここで重要になるのも先ほど1つ目でご紹介したデータを変換する機能です。
SAP ERP独自の形で格納されているデータを、私たちが普段目にする勘定科目などに紐付けすることにより、一般的な形のレポートを作り出すことができます。
大量のデータを適切に処理することも不可欠です。
企業活動に伴い、データは日々増加していきます。増え続ける業務データを適切なタイミングで処理し続けることで、レポートに正確なデータが反映され、正しい形で出力することができるようになります。
このようなリアルタイムのデータを反映させることは、在庫購買管理(MM)のレポートでは特に重要です。
また、決まった形のものだけではなく、データの取得元の組み合わせを変えることや、会計年度や顧客別で条件指定をしたレポートを作成することによって、より多角的な視点から分析できます。
このようなレポートの形を変化させられるBI機能は、次にご紹介する経営分析の手段として非常に有効です。
SAPのBI機能に求められるポイント ③経営分析の手段に
3つ目のSAPのBI機能に求められるポイントは、経営分析の手段になることです。
これまで述べてきたデータの可視化、レポートの作成も、最終目的は企業の経営者が経営分析をするための手段となることです。
作成したレポートの内容を、より分かりやすい形で分析するための機能として、ダッシュボード機能があります。
これは、データをグラフ化して色付けすることで、視覚的に分かりやすくする効果があります。
また、グラフ化することで、年度別や業務別の比較がしやすくなる、というのもダッシュボード機能の大きなメリットです。
その他に、権限管理の機能もとても大切です。経営分析に用いられるデータ、レポートは売上や利益に関する情報など機密性が高いものが多く、誰でも閲覧可能な状態にあっては情報漏洩につながってしまいます。
全社に関する情報は経理部のみに限定することや、各支社の情報はその支社に属する者のみに公開するなどの工夫をし、権限管理を適切に行うことで情報漏洩を防ぐことができます。
このように経営分析の手段としてのBIツールには、ただデータをレポートとして出力するだけではなく、個々の経営者の目的に沿ったデータを分かりやすく適切な範囲で公開することが求められます。
まとめ
ここまでお話ししてきたSAPのBI機能として求められるポイントは大きく3つあります。
1つ目はデータの可視化、2つ目はレポートの作成、3つ目は経営分析の手段になることです。
その際の問題点として、データが日々蓄積されて膨大な量であること、SAP ERP独自の留意点としてデータベースに独自のデータが使用されていることが挙げられます。
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