SAP AMOとは? 運用・保守をアウトソーシングして本来業務に注力しよう!(vol.89)

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SAPシステムを運用する中で日々出現する要望・課題・障害などに関して、「自身の業務で忙しくて手が回らない」、「やり方がわからず社内で解決ができない」などのお悩みを抱えている方は少なくないかと思います。
そんな皆さまには、SAPシステムのサポートをしてもらえるAMOサービスが役立ちます。

本ブログ記事では、AMOとはいったい何なのか、何がうれしいのか、何をどこまでサポートしてもらうべきか決めるにはどうすればよいのか、実際に運用・保守を委託する際にはどうすればよいのかなど、わかりやすく解説します。

SAP AMOとは? 何がうれしいの?

「SAPシステムの運用・保守は煩雑!」 そんな言葉をよく耳にします。
たしかにSAPユーザー企業には、特殊なシステム操作に慣れるまでのユーザートレーニング、日々出現する要望や課題への対応、基幹システムであるために障害が発生した場合の早急な対処などが求められます。
SAPシステムの運用・保守は、慎重かつ確実な作業が基本となり、かなりの労力を割いている企業が多いのが実状かと思います。また、SAPシステムの運用・保守を自社の情報システム部門で賄うには、相当なスキル・知識に加え、障害発生時の早急な解決に向けたリソース確保が必要となります。
そんなお悩みへの解決策として、SAPシステムの運用・保守のために多くの時間とリソースを割くのではなく、プロに自社のSAPシステムの運用・保守を任せる、つまり外部委託してしまうこと=SAPシステムの運用・保守をアウトソーシングすることが挙げられます。

SAPシステムの運用・保守のアウトソーシングについて調べるなかで、「AMO」という言葉にたどり着いた方は多いのではないでしょうか?
AMOとは、Application Management Outsourcingの略で、自社の業務用ソフトウェア(≒アプリケーション)の運用・保守管理などを外部の専門業者などに委託することを意味します。一般的には、SAPシステムのようなERPシステムとその周辺システムに対してリモート形式で運用・保守サポートを代行するサービスを契約することになります。

サービスのご利用イメージ(例)は、次の通りです。

  1. ユーザー企業の情報システム部門などに所属されていらっしゃるキーパーソンの方からのお問い合わせを、委託先企業のサービスマネージャーにて受付し、インシデント管理します
  2. 委託先企業のサービスマネージャーより、適任の保守担当者へタスクを割り振ります
  3. 各システムの保守担当者がリモートでお客様環境へ接続し、調査・対応を行います
  4. 委託先企業のサービスマネージャーより(場合によっては各システムの保守担当者より直接)、調査・対応結果をご報告します

上述のように、AMO管理者=委託先企業のサービスマネージャーをハブとしてユーザー企業のキーパーソンや各システムの保守担当者とコミュニケーションを取ることで、(サービスを任せる範囲にもよりますが)各ベンダー間の煩雑なコミュニケーションコストを削減することも可能です。
問い合わせを受けてすぐにユーザー企業のシステムへ接続して調査・対応を行うことができる=「いつでもどこにいても、問題があったときにすぐにシステムへ接続して運用・保守対応ができる」ことが、AMOサービスの最大の価値となります。

SAP AMOの検討方法とは? 何をどのような形でサポートしてもらったらいいの?

皆さまは、SAPシステムの運用・保守において、どのようなお悩みがあるでしょうか?

「SAPの技術知識がほしい」、「SAPと絡む複雑なベンダー管理の一部まで担ってほしい」、「組織が大きく変更になるのでサポートしてほしい」など、AMOのご利用にあたっては、現状の課題に応じてAMOで何をサポートしてほしいかの具体的な要望をまとめる必要がございます。
しかし、現時点では課題の洗い出しもできておらず、「とにかく運用保守に手が回らないのでAMOのサポート内容から一緒に考えてほしい」といった声もあるかと思います。そこで、AMOサービスで何をサポートしてもらうのがよいか、どのような形でサポートしてもらうのがよいか、その検討手順を解説します。

AMOサービスで何をサポートしてもらうべきか、どのような形でサポートしてもらうべきか、その内容を決めるには、次の手順で検討するのがよいかと思います。

AMOサービス利用検討の流れ

  1. 現状を知る(自分たちの環境を分析する)
    使用モジュール、インターフェース、アドオンのボリュームや複雑さ、パフォーマンスの懸念、システム監視の懸念などを、例えば先述のようなパーツに切り分けて、何の対応にどのくらい時間が割かれているかを整理しましょう。
  2. 自社で対応するか、AMOサービスで外部委託するかの切り分けを行う
    定期的な作業や難易度の低い作業はリソースがあれば自社で対応する場合が多いと思いますが、多くの時間が割かれている対応、緊急の対応、自社で対応した場合に懸念がある対応についてはAMOサービスに任せるなど、自社で何ができて何ができないか=外部委託したいかの切り分けを行いましょう。
  3. 各社のAMOサービスを比較する
    サポート体制・サービス内容はもちろんのこと、費用面でも条件が合致しているか、AMOサービスの契約形態について、大部分を任せるのか・パーツだけ任せたいのか・月何時間のチケット制にするのかなど、各社ごとに様々な契約形態がございます。また、サポート品質の面では、SAP認定資格保持者がいるかについても確認のポイントとなります。どの契約形態が自社に向いているのかをきちんと比較しましょう。

SAP AMOの利用フローとは? ~安心・安全な運用・保守委託に向けて~

前章では、AMOサービスで何をサポートしてもらうべきか、どのような形でサポートしてもらうべきかの検討方法を解説しました。
では、どの範囲をサポートしてもらうのか・どのベンダーのサービスを利用するのか・どのような形態で契約するのかを決めた後、実際にAMOサービスの利用を開始するまでのフローはどうなるのでしょうか?
本章では、AMOサービス利用開始までの流れを解説します。

AMOサービスの利用開始までには、次の4つの手順を踏むことになります。

AMOサービス利用開始までの流れ

  1. アセスメントの準備
    まずはじめに、SAPユーザー企業と委託先企業(ベンダー)とで、現在のSAPシステム環境(周辺システム含む)や運用状況などについて、認識をすり合わせます。
    具体的には、何のモジュールを使用しているのか、どのくらいのアドオン機能があるのか、よくあるお問い合わせは何か、緊急で対応すべき重要な障害としてどのようなものが挙げられるのかなどをベンダーがヒアリングして確認します。
    また、並行して、ベンダーによるアセスメントの事前準備として、環境接続準備や各種お手続きが行われます。
    ※前章では、“何を(どの範囲を)”AMOサービスとしてサポートしてもらうのかを検討しましたが、利用開始にあたっては、“どこまで(具体的なサポート内容・サービスレベル)”を決める必要があります。
  2. アセスメント
    ベンダーにて、SAPシステム環境(周辺システム含む)のボリュームを把握し、自社による運用・保守からAMOサービスへの移行がどのくらいの規模になるのか確認し、移行計画を立案します。
  3. トランジション(移行期間)
    SAPユーザー企業(または既存のSAPシステム運用・保守ベンダー)とAMOサービス提供ベンダー間で、重要事項から運用を引き継いでいきます。この際、意外と重要になるのが、ドキュメントの作成や最新化です。これは、AMOサービスへの移行にあたり、ドキュメントだけで読み取れる内容が多い方が、引き継ぎ工数が少なくて済みますし、問題が発生した際にも早期解決に至ることが多いためです。ドキュメントが無い、または形骸化しているケースも十分に考えられますので、この機会にしっかりドキュメントを作成・最新化することをオススメします。
  4. サービス検証(プレAMOサービス提供期間)
    必要に応じて既存のSAPシステム運用・保守ベンダーの協力を得つつ、AMOサービス提供ベンダーにて問い合わせ対応を行う時期となります。引き継ぎ内容をもとに、AMOサービスで想定通りに運用・保守対応ができるかの確認を行います。正式なAMOサービス利用開始までの最終確認(習熟度の確認など)を行います。

現状のSAP環境や運用をしっかりと確認したうえで、その企業に適したサービス内容・サービスレベルを決め、運用引き継ぎの計画立案を行った後、習熟度が十分なことを確認した後にAMOサービスを利用開始することで、安心・安全な運用・保守委託が可能となります。
SAPシステムはミッションクリティカルなシステムとなりますので、丁寧に、確実に引き継ぎを行うことが大切です。

*もし、各フェーズでどのようなタスクが発生するのか、詳細を知りたい方は、是非、次の資料をダウンロードしてみてください。
 AMOサービスご参考資料:https://inv.dentsusoken.com/erp/guidebook/amo_service_2

まとめ

ここまで、AMOサービスとはどんなものか、AMOサービスの検討方法、AMOサービス利用開始までの流れを解説してまいりました。
SAPシステムは、独自の仕様がありオペレーションに慣れるまで時間がかかりますし、ミッションクリティカルなシステムのため、迅速な障害対応も求められます。また、2027年問題に起因するSAPエンジニアの人手不足により、自社でSAPシステム専門のリソースを充実させることは厳しい状況ではないかと思います。
もし、SAPシステムの運用・保守でお悩みの場合は、AMOサービスを活用することで、サポート品質向上や運用負荷軽減を図ってみてはいかがでしょうか?

弊社電通総研では、SAP ERP・SAP S/4HANA および その周辺システムを対象としたリモート保守・運用支援サービス「AMOサービス」をご提供しております。アドオンプログラムを含めたSAPシステムで発生する障害調査、機能確認、機能改修など日々の運用で発生する課題対応をご支援します。SAPシステム特有の運用課題を把握し、リスクや管理負荷を極小化した保守・運用支援が可能です。
◆ご参考資料ダウンロードURL:https://inv.dentsusoken.com/erp/guidebook/amo_service_2

また、24時間365日のシステム監視&障害発生時の迅速な通知と一次対応を含めた統合監視サービス「AOSMS」もご提供しております。24時間の有人サポート体制を有し、システム監視や手順書に従った保守代行を行います。
◆ご参考資料ダウンロードURL:https://inv.dentsusoken.com/erp/guidebook/aosms_2

もし、SAPシステムの運用/保守に課題がございましたら、是非、弊社へご相談ください。弊社は豊富な実績に基づく独自のサービス/ノウハウを活用し、SAP ERPのライフサイクル全フェーズを通じて、システムの安定稼働と運用負荷軽減をご支援いたします。

※本記事は、2023年1月4日時点の情報を基に作成しています。製品/サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
https://erp.dentsusoken.com/inquiry/