SAP S/4HANA移行で必読のマニュアルとは?(vol.97)
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昨今、SAP ERP Central Component (以下、ECC)6.0からSAP S/4HANAへの移行に関して、弊社は数多くのご相談をいただいておりますが、皆さまの周りではいかがでしょうか?
プロジェクト計画・推進にあたり、どのようなタスクが必要となるのかはそれぞれ置かれている状況によって異なりますが、まずはSAP社が提供しているSAP S/4HANA移行に関するマニュアルを読み込むことが有効なアプローチとなることに間違いありません。
そこで本ブログ記事では、皆さまのSAP S/4HANA移行プロジェクトがより成功に近づくよう、SAP社から提供されているSAP S/4HANA移行に関するマニュアルについて解説します。
目次
SAP移行に関連するマニュアルとは?
本ブログ記事でいう「SAP S/4HANA移行関連マニュアル」とは、具体的にはSAP社のHelp Portalから参照することができる各種ガイドのことを指します。Help Portalを見ることさえできれば、いつでも確認できるので、是非、本ブログの読了後に詳細を確認してみてください。
本ブログ記事ではその中から基本となるいくつかのマニュアルを抜粋して取り上げます。
<各マニュアルのテーマ>
- SAP S/4HANAへのコンバージョンに関するマニュアル
- SUMのマニュアル
- BP-CVIのマニュアル
- カスタムコード対応のマニュアル
SAP S/4HANA移行関連マニュアル①Conversion Guide for SAP S/4HANA
まず、SAP S/4HANAへのコンバージョンを行うにあたり、関係者に必ず読んでいただきたいマニュアルが「Conversion Guide for SAP S/4HANA 2022」となります。
(ここではSAP S/4HANA 2022をご紹介しておりますが、SAP S/4HANA 2021版や、それ以前のバージョンについても同様に提供されています)
Conversion Guide for SAP S/4HANA 2022
この資料では、前半にSAP S/4HANAへの移行の進め方の概要/前提や参照すべきNote/ドキュメントなどが記載されております。プロジェクト開始前には、ここに記載されている内容を理解し準備しておくことがとても重要です。
また資料の後半には、準備フェーズや実現化フェーズでどういった作業を行う必要があるのかが記載されております。こちらについてはベーシスだけでなく業務コンサルタントにも関わる内容が多々ありますので、これからプロジェクトを開始されるPMは、プロジェクトメンバーの業務コンサルタントにも当資料の内容を共有しておくことを推奨します。
上記のように、コンバージョンに関わる方は必読のドキュメントとなっておりますが、一度読むだけではなく、プロジェクト期間中に問題が発生した場合にこのマニュアルを再確認する事で解決に至る場合が多々でてきますので、何かあればこの資料を見ることを意識していただければと思います。
SAP S/4HANA移行関連マニュアル②Conversion to SAP S/4HANA using SUM
次にご覧いただきたいのは、主にベーシスやPMをされる方向けのマニュアル「Conversion to SAP S/4HANA using SUM」です。
Conversion to SAP S/4HANA using SUM
SAP S/4HANAへのコンバージョンに際し、SUMと言われる機能を使用することをご存知の方も多いかと思います。
SUMは、Software Update Managerの略称であり、SAPシステムのUpdateやUpgrade、SAP S/4HANAへのConversionを行うためのSAP標準ツールです。
SUM自体はコンバージョンに特化した機能ではありませんが、このマニュアルを読むことにより、コンバージョンにおけるSUMの役割について把握することが可能となります。
具体的には、SUMを実施するための準備作業/計画/SUMの実行/後処理といった内容が章ごとに詳細に記載されており、各フェーズで何を行うかが理解できる資料になっています。
また、SUMでエラーが発生した場合のトラブルシューティングも記載されておりますので、SUMを進める中で何か問題が発生した場合はこの資料を確認することを推奨します。
SAP S/4HANA移行関連マニュアル③SAP S/4HANA Cookbook Customer/Vendor Integration
3つ目にご紹介するのは、「SAP S/4HANA Cookbook Customer/Vendor Integration」です。
SAP S/4HANA Cookbook Customer/Vendor Integration
こちらのマニュアルは、SAP ECCの得意先/仕入先をSAP S/4HANAで使用するBPマスタに紐づける処理=BP-CVIのマニュアルとなります。
*元々、SAP ECCでは得意先マスタと仕入先マスタとで2つに分かれていたマスタを、SAP S/4HANAでは1つのマスタ=BP(Business Partner)マスタに統合しなければなりません。
このマニュアルの内容も、今までご紹介したマニュアルと同じように、事前準備/処理実行/後処理といったことが記載されているのですが、注目して頂きたいのは、アドオンコードや外部システム連携への影響について言及されている点です。例えば、「得意先/仕入先のバッチインプットは利用できなくなるため、代替案はNoteを参照すること」といった記載がされています。これらは、SAP S/4HANAでBPマスタを使用するにあたりとても重要な情報となりますので、コンバージョンプロジェクトに関わる業務コンサルタントの方は、必ずご一読ください。
SAP S/4HANA移行関連マニュアル④Custom Code Migration Guide
最後にご紹介するのは「Custom Code Migration Guide」です。
SAP S/4HANAへのコンバージョン作業の中でも、SAP ECC6.0で作成されたアドオンコードをSAP S/4HANAで動作するよう修正を行う作業に関するマニュアルとなります。
この資料では、どの機能を修正する必要があるかの分析を行うATC(ABAP TEST COCKPIT)というツールを使用するための環境構築方法の説明であったり、ADT(ABAP Development Tools)を使用したプログラム修正の方法や、比較的新しい機能であるQuickFixなどについての説明が記載されています。コンバージョンプロジェクトであれば、ATCを利用した分析は必ず行うかと思いますので、作業を実施するベーシスや開発者などは、確認しておくことを推奨します。
まとめ
さてここまで、SAP社から提供されているSAP S/4HANA移行に関するマニュアルについて解説して参りました。
本ブログ記事では、それぞれのマニュアルの概要について触れるに留めましたが、これらのマニュアルを詳しく読み込んでいただき、皆さまのSAP S/4HANA移行プロジェクトを成功に導いていただければと存じます。
弊社電通総研では、ATC分析の結果に加え、プログラムの利用頻度の統計情報や権限情報なども含めた独自の分析を行うことで、より広範囲/高精度な影響調査が行えるソリューション「Panaya」をご提供しております。
「Panaya」を活用した独自のSAP S/4HANA移行アセスメントもサービス提供しておりますので、ご興味ございましたら、是非、弊社までお声掛けください。
お問い合わせ|電通総研 SAP SOLUTION
本記事は2023年4月1日の情報を基に作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、各製品・サービスベンダーのサイトからお問い合わせください。