SAP 移行 を徹底比較!! おすすめの移行方式と移行ツール3選(vol.20)

  • 公開日:2021.03.23

SAP ERP Central Component 6.0(以下、ECC6.0)の保守期限が終了する2027年まであと数年。
SAP ERPユーザーはSAP S/4HANAへの移行を迫られています。
一口に「SAP移行」と言っても、どのような移行方式があるのでしょうか?
また、SAP移行サービスにはどのようなものがあるのでしょうか?

本ブログでは、SAP S/4HANAへの移行方式と移行ベンダーを徹底比較し、詳しく解説していきます。 

SAPの移行方式には3種類ある

SAP ECC6.0のサポート期限が2025年から2027年に延長されましたが、検証や評価に要する時間を考えると、残された時間は多くありません。(一般的にSAP2025年問題、SAP2027年問題と言う)
SAP ERPユーザーは、SAP S/4HANAへの移行(以下、SAP移行)検討が必要となります。
「SAPの移行って、システムのバージョンアップやアップグレードをすればいいの?」
「SAP S/4HANAってクラウドがいいの?オンプレミス利用はどうなの?」
と、SAP移行に対する様々な疑問を感じているSAP ERPユーザーは少なくないはずです。
SAPによると、SAP S/4HANAへの移行方式は3種類あります。
その違いを、SAP S/4HANAの主な新機能と共にご紹介します。

SAP S/4HANAの主な新機能

  • Fiori(WebGUI)による見易さ、AI自動消し込み機能の搭載、モバイルから業務オペレーションができるようになるなど、新機能が強化されている。

※もちろん、SAP S/4HANAはクラウドもオンプレミスも選ぶことができる。

SAP S/4HANAへの移行方式
(1)コンバージョン
 →現在使っているSAP ERP(ECC6.0)の設定、アドオン、データをそのまま移行する方式のこと
 ※ブラウンフィールドとも呼ばれる(整地されているフィールド=リスクが低い)

(2)リビルド
 →現行のシステムにとらわれず、ゼロベースから業務プロセスを見直し、新しいシステムとして再設計、再構築する方式のこと
 ※グリーンフィールドとも呼ばれる(整地されていないフィールド=リスクが高い)

(3)選択データ移行
 →特定のデータだけを選択したり、複数のインスタンスを統合したりしながら移行する方式のこと

このように、移行方式だけでも(1)コンバージョン=「現状のまま移行」、(2)リビルド=「作り直し」、(3)選択データ移行=「特定のデータを選択して移行」の3つの選択肢があります。

今回はコンバージョンを行う移行方式についてご紹介したいと思います。
SAP S/4HANAへの移行を迷っているSAP ERPユーザーは、まず(1)コンバージョンによる移行方式を検討されてみてはいかがでしょうか?
理由は、一番コストが安く移行リスクも低いからです。業務プロセスを大きく変えず、今までどおりのSAPの使い方で移行ができることもメリットです。
それではSAP社にパートナーパッケージソリューション認定されているSAP-Qualified Partner(SAPクオリファイドパートナー)の中から、SAP移行ベンダー3社を徹底比較していきましょう。 

SAP移行ベンダーを徹底比較① (株)電通総研SAP S/4HANA移行トータル支援サービス

SAP S/4HANAへの移行を迷っているSAP ERPユーザー向けに、意思決定するための3つのサービスを、電通総研は用意しています。

<特長>
1. ITロードマップ策定支援サービス
適切な投資計画や方針決定を支援します。アセスメントサービスで影響範囲を調査するケースを想定し、クラウドサービス「Panaya(パナヤ)」を活用して方針策定を行います。

2. SAP S/4HANAアセスメントサービス
クラウドサービス「Panaya(パナヤ)」を使用し、48時間でSAP S/4HANA移行の影響を分析。アドオンの棚卸やカバレッジ分析、信頼性の高い移行コストを算出します。
提供されるアセスメントレポートにより、SAP S/4HANA移行に関する正確な意思決定を可能とします。

3. SAP S/4HANAコンバージョンサービス
実際に移行プロジェクトに進んだ場合は、クラウドサービス「Panaya(パナヤ)」の分析結果を踏まえ、確実かつ効率的な移行作業を実行できます。

電通総研は、クラウドサービス「Panaya(パナヤ)」を使い、SAP移行のための影響範囲を自動解析。根拠に基づいた見積工数の算出、マンパワーに寄らないスピード感と正確性が、SAP S/4HANA移行トータル支援サービスの特長と言えるでしょう。

<SAP S/4HANA移行クラウドサービス「Panaya(パナヤ)」の主な機能>
・分析オブジェクトの使用/未使用情報
・システム複雑度チャート
・アドオン修正情報
・削除トランザクション情報
・権限/ロール情報
・モディフィケーション情報
・SAP S/4HANA化に伴う標準設定の移行チェック情報
・SAP S/4HANAで有効化される拡張機能
・SAP社提供ECC追加機能のSAP S/4HANA互換情報
・HANA2.0移行アドオン互換分析情報
・推奨単体テスト
・推奨新機能テスト
・周辺システムへの影響情報
・Fiori推奨アプリケーションレポート

SAP S/4HANA移行トータル支援サービス:https://erp.dentsusoken.com/solution/sap-s4hana-assessment

SAP移行ベンダーを徹底比較② TIS(株)SAP S/4HANAのりかえサービス

たくさんのSAP ERPのメジャーバージョンアップを支援してきたTISが提供するSAP S/4HANAへの移行サービスです。新世代ERPのSAP S/4HANAへの新機能をキャッチアップし、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現をサポートしていいます。ERPの豊富なプロジェクト成功経験とSAP S/4HANA新機能の知見から、SAP S/4HANAへのテクニカルコンバージョンまで提案をしています。

<特長>
1. SAP S/4HANAアセスメントサービスを、「S/4HANAのりかえサービス」から独立させ提供することが可能です。
2. SAP S/4HANAコンバージョンに「高精度」「高効率」で柔軟に応えます。
3.独自方式により、データやプログラム等の機密性の高い情報を社外に持ち出さずに「セキュア」にアセスメントサービスを提供します。

TISは、SAP S/4HANA移行後もワンストップでSAPライセンス保守を提供し、顧客の一緒に業務改善を繰り返していくことできることが特徴と言えるでしょう。

SAP S/4HANAのりかえサービス:https://www.tis.jp/service_solution/s4hananorikae/

SAP移行ベンダーを徹底比較③ コベルコシステム(株) SAP S/4HANAコンバージョンサービス “K4C”

製造業を中心としたSAP ERPの豊富な導入経験を活かし、SAP S/4HANAへのコンバージョンプロジェクト計画策定から本稼働まで支援するサービスです。

<特長>
1. 地に足のついた安心安全なプロジェクト推進
これまで手掛けてきたコンバージョン案件の経験から、安心安全なコンバージョンプロジェクトを推進します。

2. 自社開発ツールを使った移行チェックの効率化
自社開発ツールを活用し、複数のオブジェクトを一括で比較、バージョン一致確認、改修プログラムを開発機から本番機の最終チェックができます。

3. 生産管理モジュールへの対応
生産管理モジュールを導入してきた経験を活かし、生産管理モジュールのコンバージョンに対応します。

4. ダウンタイムの最小化
チューニングなど様々な施策を組み合わせ、ダウンタイムを最小化してお客様の業務への影響を減らします。

コベルコシステムは、製造業のビジネスに対しSAP移行実績が多いと言えます。自社開発ツールを使った移行チェックの効率化ができることが、SAP S/4HANAコンバージョンサービス “K4C”の特長と言えるでしょう。 

SAP S/4HANAコンバージョンサービス K4C:https://www.kobelcosys.co.jp/solution_service/detail/k4c/

まとめ

SAP2027年問題に対しSAP S/4HANAの新機能でできることや、SAP S/4HANA移行方式には3種類あることが、SAP ERPユーザーにはご理解いただけたと思います。
また、SAP S/4HANA移行方式の中でも(1)コンバージョンが、最もコストが安く、リスクが低いこともわかりました。

SAP S/4HANAへの移行を迷っている企業は、まずアセスメントサービスを受けて、移行方式を検討(移行可否を判断)してみてはいかがでしょう?
48時間以内にクラウドサービスでアドオン開発の影響調査や分析をするアセスメントサービスが比較ベンダーの中にありました。
まずはクラウドサービスやツールを持っているSAP移行ベンダーに相談し、正確な移行コストを算出することは重要です。

現状のSAPシステム保守を担当するソリューションベンダーに相談したら、概算見積で「〇億円」「〇〇億円」と言われ、選択肢が他にないため、担当ベンダーの言いなりになってしまう事例があります。
このようなケースに陥らないようにするためには、SAP S/4HANA移行の選択肢を持つことです。

3種類のSAP S/4HANA移行方式のどれが自社にとって最適か?
どの移行ベンダーに任せるのがよいのか? など、
正確な移行費用で安定した移行プロジェクトを目指すために、様々な移行サービスや移行ベンダーを徹底比較してみてはいかがでしょうか。

※本記事は2021年3月11日の情報を基に作成しています。SAP移行サービスに関する詳しいお問い合わせは、各SAP移行ベンダーのサイトからお問い合わせください。