SAP BW 事例 こまっているお客様の共通点(vol.18)

  • 公開日:
  • 最終更新日:

日々問い合わせをいただくSAP BWのお客様こまりごとを一生懸命サポートしながら、営業活動の中から気づいたSAP BWのお客様こまりごとの“The本質”を、営業視点で事例を交えてわかりやすく解説しました。
お客様の叫びの裏に隠されたSAP BWシステム運用の課題は何か?
事例がすべてを物語ります。
 

SAP BW 事例 こまっているお客様A社/データ処理時間が遅い

ある日、A社からこんなメールが私に届きました。
“SAPを8年近く利用しているが、ここ数年夜間バッチ処理に時間がかかっており、始業時間までに処理が終わらなくなっている。
プラットフォームをクラウド化すれば今後必要に応じてシステム増強できると思うので、SAPクラウド化実績多数の電通総研に相談に乗ってもらいたい” 
という内容でした。
早速、私はA社にご連絡差し上げ、詳しく話を聞きました。

A社の話をまとめると次のような内容でした。

  • 導入当初からしばらくはちゃんと就業時間内に処理が終わっていたが、税制の変更や、ビジネスモデルの変化により見たいデータが変わってくるため、都度BWに改修を加えてきた。
  • 改修加えるたびに、夜間バッチ処理速度が遅くなってきている気がしたが、BWのプログラムを改良しながら処理速度改善活動は続けてきた。
  • ところが導入当時からBWを構築・保守担当していたメンバーが、ここ数年の間で定年退職や部署異動となり、BWの内部をよく知るものがいなくなったため処理速度改善に手を付けにくくなってきている。
  • そこで、プラットフォームをクラウド化すれば、プログラムを改修をしなくても適宜容易にスペックアップできるため、処理速度向上が図れるのでは?と考えた。


そこで私はA社に以下のご回答をしました。

  • プラットフォームのクラウド化により、もちろん随時処理速度向上は図れます。
  • ただしクラウドを都度増強させる対応では、処理速度向上の限界はありますし、ネットワーク回線の増強やハイスペックインスタンスはまだ割高感もあります。
  • よってBIの処理速度向上目的でのプラットフォームクラウド化はROIの算出に苦労します。

SAP BW 事例 こまっているお客様B社/帳票作成に時間がかかる

ある日の午後、B社からこんなメールが私に届きました。
“SAPを10年以上利用しているが、年々帳票作成の時間が増加している。特に経理財務部門の月末月初の残業時間が年々増えており、社内で問題になっている。
そこでRPAソリューションを導入して、現在人手に頼っているデータ準備作業を自動化すれば残業時間を削減できると思うので、RPA導入実績多数の電通総研に相談に乗ってもらいたい” という内容でした。
早速、私はB社にご連絡差し上げ、詳しく話を聞きました。

B社の話をまとめると次のような内容でした。

  • 導入時は、当初BW上に開発した作成処理で自動的に帳票作成できていた。その後求められる帳票変更は、SAP構築ベンダーに依頼し、都度帳票改修対応をしていた。
  • しかし改修コストがバカにならず、軽微な改修要望は、ユーザー部門に運用でカバーしてもらい、改修対応は見送りし、コスト削減を図ってきた。
  • ところが数年前からSAP未導入のグループ会社の実績数字も報告数字に含める運用となった。そこで従来BWで作成してた帳票からデータを抽出し、EXCEL上でグループ会社の実績数字と合わせて新たな帳票を作成開始した。
  • この帳票作成作業は、BWで抽出したデータの加工やEXCELでのレポート作成作業が煩雑で、人手に頼らざるを得なく、残業時間の増大の原因となっている。そこで、RPAを用いて帳票作成作業を自動化すれば、残業時間の削減が図れるのでは?と考えた。

そこで私はB社に以下のご回答をしました。

  • データ加工や帳票作成作業のRPA導入は、もちろん作業効率化が図れます。
  • ただしRPA導入は、新たに、要件定義、開発、テスト、という一般的なシステム導入プロセスが必要となります。
    また擬人化されたRPAの権限管理や、SAP ERP改修により発生するRPAの保守・運用も発生し、新たなITリソース/スキルが必要となります。
  • よってBI目的でのRPA導入はROIの算出に苦労します。

こまっているお客様の共通点が見えた

私は、A社、B社との会話を通じて、彼らがなぜ問題の根本になっている“BW”改修に着手しないのか?不思議でした。
さらに各社との会話を進めた結果、以下二点の共通課題が見えてきました。

  • BWの開発・運用が社内特定メンバーやベンダーに依存しているために、簡単にBW改修に着手できない。
  • レポートに必要な数字を作るロジックをBWの内部でABAP開発しているため、
    ”どこから手をつければよいのか?” 改修する場合の影響範囲が特定できない。

また、この課題はBWの以下固有の特性が原因だとわかってきました。

  • SAPのテーブル構造が複雑で、わかりやすいテーブル名称となっていないため、レポートに必要なデータがどこにあり、どのように作り出せばよいかが、専門知識のない人は全くわからない。
  • BWの構造上、ABAPというSAP専用言語を用いてBW内部でプログラム開発する必要があり、外部ベンダーや特定メンバーのスキルに依存してしまう。

私はこの問題の解決ポイントを整理しました。

  • 誰でも扱えるオープンな環境でのシステム構築
  • 属人化の排除

お客様の課題解決のためにはこの本質的なポイントを解消する必要があるといえます。

そのとき私はどんなアドバイスをしたのか?

私が検討を進めたのは、以下の要件を満たす製品のご提案でした。

  • ABAPではなく、一般化された開発言語の利用
  • クローズなBW内部ではなく、オープンで扱いやすい外部データベース環境での構築
  • SAPの複雑なテーブル構造を扱いやすくするSAP専用のテンプレートの採用
  • できるだけプログラム開発を排除し、設定変更のみで抽出データを変更できるETLの採用

そして、この要件を満たすのは、弊社電通総研製品の“BusinessSPECTRE”しかないと考えました。

BusinessSPECTREは次のように要件を満たします。

  • プログラミング不要、設定のみでSAPデータをMS SQL Serverに抽出
  • データ処理ロジックはMS SQL Server上にMS Visual Basicで記述するため、誰でも開発可能
  • SAPテーブル構造をわかりやすく再構成したテンプレートを、各業務モジュール毎に装備
  • BWの自由分析ツール(Business Explorerと同等の機能を装備する“BusinessSPECTRE WebFront”を保有

BusinessSPECTREの導入により、お客様の課題は以下の通り見事に解決できました。 

■A社の場合

  • テンプレート導入により、SAPテーブル構造が明確になったので、ユーザーが見たいデータをすぐに選定できるようになった。またMS Visual Basicの開発は技術者を容易に集められるため、タイムリーな改修作業を実施できるようになった。
  • MS SQL Serverデータベースの処理速度向上させるチューニングノウハウが世の中に豊富に存在しているため、容易に速度向上をが達成できた。

■B社の場合

  • テンプレート導入により、SAPテーブル構造とレポートが明確に紐付いたため、ユーザーが見たいデータをすぐに改修できるようになった。
  • またデータベースをSAP外部に置いたことで、SAP以外のデータ取り込みが容易になった。またテンプレートにより、外部データをどのSAPテーブルと結合すればよいかがわかりやすくなり、外部環境への対応力が向上した。

SAPシステムは、独自の開発言語、複雑なテーブル構造を有し、高い堅牢性を誇っております。
しかしながら、そのメリットがSAPデータ活用を難しくする原因となっています。
データの正確性はSAP本体で担保しながら、もっと自由に容易にデータ活用ができれば、SAP ERPの価値をより高められると信じています。

SAP ERPのデータ活用のことでお困りの際は、是非、電通総研にご相談ください。

◆ BusinessSPECTREご紹介ページ:https://erp.dentsusoken.com/solution/sap-bi-businessspectre

◆ お問い合わせ:https://erp.dentsusoken.com/inquiry/