Panaya とは? SAP Ver.UpやS/4HANA移行の工数/リスクを大幅削減(vol.69)
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SAP ERPユーザーであれば、一度は「Panaya(パナヤ)」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
本ブログでは、SAP ERPのバージョンアップやSAP S/4HANA移行検討時の分析ツール代名詞であるPanayaがSAPユーザーに提供する真の価値は何か?を解説します。
SAPユーザーが考えなくてはならないことは何か?Panayaが目指すものは何か?
Panayaの歴史を振り返りながら、整理してみましょう。
*本ブログの「SAP ERP」は、「SAP ERP」および「SAP S/4HANA」を指します。
Panaya 日本上陸前夜
SAP R/3 4.6C(以下、4.6C)のサポート終了期限まで残すところ約2年となった2008年当時、SAP ERP Central Component(以下、ECC)6.0へのバージョンアップに伴うアセスメント作業は、顧客環境にサーバーを持ち込み、既存アドオンプログラムのコンパイルエラー結果を取りまとめる下記のようなサービスが主流でした。
- 既存4.6C環境に、新たにECC6.0環境を構築したサーバーを接続し、4.6C環境のアドオンプログラムを移送
- 新ECC6.0環境で、既存4.6C環境のアドオンプログラムのコンパイル時に発生するエラーをまとめて修正箇所として報告レポートし、4.6C環境のアドオンプログラムの修正を実施
当時の代表的なアセスメントサービスとして、
コムカル株式会社が提供していた「Ugalyzer(ウガライザー)」 や、
インテリグループが提供していた「Uptimizer(アプティマイザー)」
などが挙げられます。
しかし、2008年当時でも日本国内だけで一千社以上の4.6Cユーザー企業が存在しており、彼らがリーズナブル且つ低リスクでバージョンアップするには次の課題を解決する必要がありました。
- ECC6.0環境が構築されたサーバーを持ち込んで既存4.6C環境に接続するため、準備工数/時間がかかった
- 分析結果のまとめ/考察は属人化したノウハウに頼っており、分析結果精度のばらつきが発生した
- コンパイルエラーで分析できない事象(権限関係の正確な継承など)は最終的な確認テストで抽出せざる得なく、手戻り発生は免れなかった
- 一度に複数のSAPシステムの分析を行えないため、年間の対応インスタンス数に限界があった
属人化した分析で精度にばらつきのあるアセスメント結果をもとに、あとは勘と経験と度胸で実施せざるを得なかったECC6.0へのバージョンアップ作業は、プログラム修正/テスト作業の抜け漏れが発生し、多くの手戻りが発生しました。その結果、スケジュール遅延が発生し、それに伴いプロジェクト費用が高額になるというケースが多発しました。そのため、ベンダー側もバージョンアップの見積はリスクを見込んだ工数を提示せざる得なく、ユーザーにもベンダーにも高い負担が発生してしまい、バージョンアップの促進を妨げていました。
そんな中、2008年の年末にPanayaは日本に上陸しました。
Panaya の衝撃
このような課題を抱えたバージョンアップ市場において、Panaya登場は衝撃的でした。
Panayaは次のような画期的なサービスを提供し、これらの課題を一気に解決したのです。
- 分析のための事前準備はABAPプログラム一つを開発機か検証機に移送し、統計情報も取得できるように本番機へRFC接続設定を行うだけであり、分析の準備工数がほとんどかからない
- 分析結果のまとめはPanayaシステムがすべて自動的に整理するため、属人化が排除でき、分析結果精度は常に高品質でばらつきがない
- Panayaでしかできない分析(権限の確認やテスト範囲の算出など)結果は、手戻り発生を極限まで抑えられる
- 分析結果はWeb上で確認でき、BIツールのように見たい項目をドリルダウンしたり、修正項目に関するSAPサポートページへそのままアクセスできるため、情報確認の精度と効率が高い
- クラウドリソースを用いて分析するため、同時にいくつものSAPシステムを分析できる
しかも、一番の衝撃は、
★初回分析はなんと無料で実施し、Panayaによる分析の費用対効果を確かめてから契約できる
という、驚くべきサービスでした。
2009年、Panayaサービスによって、ECC6.0へのバージョンアップが一気に加速されたのです。
現在のSAPシステムライフサイクル効率化を取り巻く環境
現在SAP社が用意するシステムライフサイクル効率化に向けた環境(ツール)は次の通りです。
- SAP S/4HANA移行の検討から実行まで
- SAP S/4HANA バージョンアップの検討から実行まで
上記1、2のいずれも、アセスメント用にSAP社提供の標準ツール(ATCレポート、ReadinessCheck、SI-Check)を稼働させるサーバー環境をシステムごとに準備し、各ツールから大量に出力される結果をSAPコンサルタントのノウハウを使って取りまとめる必要があります。
- SAP ECC6.0の標準保守延長の検討から実行まで
提供される効率化環境はなく、従来通り、保守ベンダーの経験とノウハウで検討から実行まで対応する必要があります。 - SAP S/4HANA再導入時
提供される効率化環境はなく、従来通り、保守ベンダーの経験とノウハウで検討から実行まで対応する必要があります。
SAP社がオプションとして提供しているテスト自動化ソリューションもありますが、再導入(≒新規導入)時は効果が出しにくく、運用フェーズ後の効率化で効果を発揮します。
なんだかPanaya日本上陸前夜の状況に酷似していますね…
それでは最新のPanayaサービス全体像を以下にご説明します。
まずは全体感を掴むために、
Panaya|電通総研 SAP SOLUTION
のページをご覧ください。
2008年末のPanaya日本上陸時と同じ衝撃を、今でももたらしていることがお分かりいただけるかと思います。
なおPanayaサービス利用場面は以下4つを想定しています。
- SAP S/4HANA移行の検討から実行まで
アセスメントサービス|電通総研 SAP SOLUTION
コンバージョンサービス|電通総研 SAP SOLUTION - SAP S/4HANAバージョンアップの検討から実行まで
SAP S/4HANAアップグレードサービス|電通総研 SAP SOLUTION - SAP ECC6.0の標準保守延長の検討から実行まで
SPS / EhP アップグレードサービス|電通総研 SAP SOLUTION - SAP S/4HANA新規導入・再構築
Panaya Test Dynamix|電通総研 SAP SOLUTION
また、Panayaならではの
★初回分析は無料で実施し、Panayaによる分析の費用対効果を確かめてから契約
は、今でもすべてのPanaya分析サービスにおいて引き継がれています。
Panaya がSAPユーザーに提供する価値
さて、これらの利用場面を通してSAPユーザーに提供しているPanayaの価値とは何でしょうか?
それは、「SAPプロジェクト全体をデジタル改革する力」と考えています。
今後一層顕著になってくる“ITリソースの需要と供給のギャップ”*1に対応するためには、“マンパワーに頼らない徹底した効率化”、すなわち SAPシステムライフサイクルにもDX改革が必要になると考えています。
言い換えると、プロジェクトリスクへの対応や本来のDX推進に打向けてのリソース確保のため、デジタルツール徹底活用によるプロジェクト効率化に舵を切ることが必須と言えます。
*1 2030年には16万~79万人ものIT人材が不足する
そのためにはどのような要件が必要なのでしょうか?
それは次の3つの要件を満たす仕組みと考えます。
- 特定のスキルを持つリソースに「属人化」しない仕組み
- 長期にわたるプロジェクトで「変化のスピード」に耐えうる仕組み
- コミュニケーションロス、時間によるギャップを生まない仕組み
これらの要件を満たす仕組み作りにおいて、Panayaは次の3つを軸にしたデジタル改革を実現します。
- 影響分析一筋10数年、独自の影響分析エンジン
→ 数か月要する影響分析作業をスキルに依存せず高品質かつ48時間で自動実行 - クラウド型テストソリューション
→ 多くの人手がかかるテスト関連作業を「デジタル化」と「オートメーション化」 - リモートワークコラボレーション
→ テストにまつわる情報を全てクラウドで集中管理しコラボレーションを促進
なお、Panayaを活用したSAPプロジェクトのデジタル改革に成功したお客さま事例は以下URLより御覧いただけます。是非ご参考ください。
*事例リーフレットのURLへアクセスすると、すぐにPDFファイルのダウンロードが開始されます。
■SAP S/4HANA移行
●ダイワハウス事例
・事例リーフレット:https://inv.dentsusoken.com/Panaya/case004_2
・事例講演動画:https://inv.dentsusoken.com/erp/casestudy/daiwahouse_2
●日本電気事例
・事例リーフレット:https://inv.dentsusoken.com/Panaya/case002_2
■SAP ERP6.0の標準保守延長
●東ソー事例
・事例リーフレット:https://inv.dentsusoken.com/Panaya/case003_2
■SAP S/4HANA新規導入
●東京エレクトロン事例
・事例リーフレット:https://inv.dentsusoken.com/Panaya/case005_2
まとめ
日本上陸から13年が過ぎ、今ではSAP ERPのバージョンアップやSAP S/4HANA移行検討時のアドオン分析のデファクトスタンダードサービスとなったPanayaの歴史を振り返りながら、最新のサービス内容、そして13年以上変わらずに提供できている価値/本質を解説してきました。
弊社電通総研は、2009年以来、Panayaの日本国内No.1の販売代理店として、SAPユーザーおよびSAPパートナーに対してサービス&技術サポートを提供して参りました。
Panayaについて、ご質問やご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ|電通総研 SAP SOLUTION
本記事は2022年4月28日の情報を基に作成しています。製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、各製品・サービスベンダーのサイトからお問い合わせください。