OutSystemsでSAPのアドオン開発をすると何がうれしいの?(vol.64)

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ビジネス環境の変化が加速し、スピーディーかつ柔軟にデジタルデータを扱う能力が求められている昨今、ビジネスニーズをいち早く具現化するための手段として注目を集めているのが、少ないコード記述でシステム開発ができる“ローコード開発”です。
この“ローコード開発”を可能とする製品の内、開発したアプリケーションのライフサイクル全般を管理すべく、開発環境に加え、開発したアプリケーションが稼働する環境としてデータベース/インフラも含めてプラットフォームとして提供する製品のことを「ローコード開発プラットフォーム(Low-Code Development Platform)」と言います
その中でも、エンタープライズ向けのアプリケーション開発に適したローコード開発プラットフォームのリーディングソリューションとして、OutSystems(アウトシステムズ)が挙げられます。

本ブログでは、昨今話題のローコード開発プラットフォーム:OutSystemsでSAP ERPのアドオン開発をすると何がうれしいのか、どんなことができるのか、活用事例を交えて解説します。

*本ブログの「SAP ERP」は、「SAP ERP」および「SAP S/4HANA」を指します。

ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsとは?

OutSystemsは、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションの超高速開発を実現できるローコード開発/運用プラットフォームです。アプリケーションのライフサイクル全体の開発/メンテナンスのスピードと、変化への順応性を劇的に向上させることができます。

開発元のOutSystems社は、2001年にポルトガルで創業し、現在は本社をポルトガルとアメリカに置くソフトウェアベンダーです。2017年には日本法人(OutSystemsジャパン株式会社)を設立しています。
同社の提供するOutSystemsは、2022年現在、87カ国、22業種で数千社の採用実績がある世界でも有数のローコード開発プラットフォームであり、日本国内でも製造業、建設/エンジニアリング、金融、輸送機器/物流、ITなど100社以上の導入実績があります。

OutSystemsは、以下3つの特長を持つローコード開発プラットフォームです。

  • 直感的な操作でアプリケーションをデザイン
  • ワンクリックで動作するアプリケーションを生成
  • 要求スピードに応えるチカラ

豊富なテンプレート・パーツ利用してデザイン性の高いUIを実現し、BPT(ビジネスプロセステクノロジー)を活用し、業務プロセスに沿ったアプリ制御を作成することができます。

そして何といってもユーザーにとって最大の魅力は、AIを利用したアシスト機能です。
何百万もの事例を学習済みのAIが開発をアシストしてくれます。開発中のロジックから推定される次のアクション候補をAIがサジェストし、典型的なロジックを組み上げる場合であれば、候補を選択するだけでロジックを組み上げることが可能です。
このAIアシスト機能により、経験の浅い若手エンジニアが迷わずに開発を進められ、プログラム品質が向上できるのです。OutSystemsを活用することで、従来の開発プロジェクトに比べ、3.5倍~6倍の生産性を上げた実績があります。

AI、クラウド、DevOpsを融合したOutSystemsは、超高速開発を実現する新しいローコード開発/運用プラットフォームと言えます。OutSystemsは、アプリケーションのライフサイクル全体のスピードと変化への順応性を高め、システム開発の生産性と品質を向上に寄与します。

※ご参考URL:https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/about-outsystems/

では、このOutSystemsは、SAP ERPユーザーにとってどのような福音をもたらすのでしょうか?

OutSystemsでSAPのアドオン開発をするとうれしいこと

SAP ERPユーザーのよくあるお悩みとして、アドオン開発に起因する課題/要望が挙げられます。

<SAP ERPのアドオン開発に起因する課題/要望>

  • アドオン開発コストが膨らむ
    SAP ERPの入れ替えまたはバージョンアップを考えなければならないが、現状はアドオン開発が非常に多く、開発コストが膨らむ。
  • 市場や現場の変化に迅速に対応できるシステム基盤で開発したい
    CRM/SFA、フィールドサービスなど顧客接点のシステム強化にあたり、市場や現場の変化に迅速に対応できるシステム基盤で開発したい。
  • システム改修/追加開発に時間とコストがかかる
    自社固有要件のシステムはSAP ERPのアドオン開発にABAPを使っているが、外部ベンダーに依頼しているので、システム改修/追加開発に時間とコストがかかる。
  • UIやワークフローを見直したい
    現用のUIやワークフローは事業部門からの評判が良くないため、SAP ERP導入or更改のタイミングでUIやワークフローも見直したい。
  • SAP ERPのライセンス費用を抑えたい
    ユーザー数が多く、外部ベンダーも参加するようなシステムの場合、SAP ERPのライセンス費用を削減する観点でも、SAP ERPとの連携機能を持つ別のシステムで開発したい。
  • IT統制を考慮して開発/運用基盤を同じにしたい
    SAP ERPをグローバルで利用しているが、周辺システムは各国の市場やビジネスの違いから異なるシステムを利用している。IT統制を考えるとグローバルで開発基盤を揃えたい。

これらの課題/要望に対して、ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsは有効なソリューションとなり得ます。

ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsによるシステム開発の効果

SAPのアドオン開発に起因する課題/要望 ローコード開発プラットフォームによる期待効果 OutSystemsの訴求ポイント
アドオン開発コストが膨らむ 生産性が高く、超高速開発を可能とするローコード開発プラットフォームを利用することで、開発コストを抑えつつ、市場や現場の変化に迅速に対応したシステム開発が可能となります ・ビジュアルモデリングによる直感的な操作でアプリケーションをデザインします
・デザインを元に「ソースコード生成」~「ビルド」~「デプロイ」が自動化され、ワンクリックで動作するアプリケーションを生成します
市場や現場の変化に迅速に対応できるシステム基盤で開発したい
システム改修/追加開発に時間とコストがかかる ビジュアル開発環境を持つローコード開発プラットフォームを利用することで、システム改修/追加開発を容易かつ効率的に行うことが可能となります ・アイコンのドラッグ&ドロップによる視覚的な操作でアプリケーションを生成します
・ドキュメントがなくても統合環境だけでビジュアルに内部構造を把握できます
・プロセスの可視化により属人化を排除し、プロセスの追加/修正が容易になります
UIやワークフローを見直したい ローコード開発プラットフォームでは、リッチなUI/UXのテンプレートが活用でき、ワークフローが簡単に開発できます ・スクリーンテンプレートを元に画面を作成することで素早く洗練されたUIを作成します
・WEB/モバイルともにデザイン性の高い(一部アニメーションも実装した)パーツが各種用意されており、それらのパーツを組み合わせることでデザイン性の高いUIを簡単に構築することができます
・プロセスの分岐、Eメールの送信、承認待ち等、業務プロセスのイベントに沿ったフローをツールアイコンのドラッグ&ドロップで設計します
SAP ERPのライセンス費用を抑えたい SAP ERPのテーブルやAPIの情報を持ち、SAP ERPとの連携が容易なローコード開発プラットフォームでシステム開発することで、SAP ERPのライセンス費用を抑えることができます ・外部データベース(Oracle/SQL Server/My SQL/DB2)への接続を標準でサポートしています
・コミュニティサイト(Forge)からコネクターを取り込むことで、様々なサービスと簡単に連携できます
・REST/SOAPサービスおよびSAP連携機能が標準で組み込まれており、容易に連携を実現できます
IT統制を考慮して開発/運用基盤を同じにしたい 海外で実績があるローコード開発プラットフォームをグローバルで採用することでシステムの一元管理が可能となる他、現地での開発/運用も可能となります ・ユーザーの操作と連動し、複雑なロジックになるビジネスプロセス全体をビジュアルにデザインし、アプリケーションとプロセスを統一環境で管理する事ができます

 

ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsの有用性はざっくりとご理解いただけたかと思いますので、もう少し具体的に実際の活用事例を見てみましょう。

OutSystemsのSAP連携における活用事例

ここで、弊社が担当したOutSystemsのSAP連携における活用事例をご紹介します。

大手製造業でのSAP S/4HANAと連携したOutSystems活用事例

OutSystemsのSAP連携機能を活用し、SAP S/4HANAのアドオン(承認ワークフロー機能)を短納期&低コストで開発しました。

OutSystemsにはSAP連携機能があり、それを利用してSAP S/4HANAからマスタデータ/伝票データを抽出し、OutSystemsでワークフロー承認後、承認情報をSAP S/4HANAに書き戻しています。伝票入出力にはBAPIを使用し、マスタデータ取得にはODataを補完的に使用しました。

本事例におけるポイントは以下3点です。

  • BAPI/ODataともOutSystemsの標準機能でSAP連携が可能
  • SAP S/4HANA内でワークフローを構築する場合に比べて短納期&低コスト
  • OutSystemsでシステム構築することにより、SAP S/4HANA導入コンサルタントの負荷軽減に寄与
    (一般的にOutSystems技術者の作業単価はSAPコンサルタントより安価であるため、コスト軽減にも寄与します)

まとめ

ここまでの内容をまとめます。

  • “ローコード開発”は、ビジネスニーズをいち早く具現化するための手段として注目を集めている
  • 開発したアプリケーションのライフサイクル全般を管理すべく、ローコード開発環境に加え、開発したアプリケーションが稼働する環境としてデータベース/インフラも含めてプラットフォームとして提供する製品のことを「ローコード開発プラットフォーム」と言う
  • OutSystemsは、エンタープライズ向けのアプリケーション開発に適した代表的なローコード開発プラットフォーム製品
  • OutSystemsを活用することで、従来の開発プロジェクトに比べ、3.5倍~6倍の生産性を上げた実績がある
  • OutSystemsはSAP連携機能を標準搭載しており、SAP ERPのアドオン開発に起因する課題/要望のソリューションとなり得る

もし、SAP ERPのアドオン開発でお悩みがございましたら、ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsのご利用を検討されてみてはいかがでしょうか?

電通総研では、ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsの導入・活用を支援する様々なサービスメニューをご用意しております。
・ローコード開発プラットフォームの活用を前提としたITロードマップ策定
・ローコード開発プラットフォームのPoC支援
・CoE支援によるローコード開発プラットフォームの導入・活用
・ローコード開発プラットフォーム上の受託開発 ……など、様々なご支援をさせていただきます。
もちろん、SAP ERPとのシステム連携を前提としたアドオン開発も可能です。

ローコード開発プラットフォーム:OutSystemsの導入をご検討の際は、是非、電通総研へお声掛けください。
https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/

また、電通総研は、皆様にとって有益な情報をご提供できればと思い、学びの資料(e-book)ご提供しております。
こちらも是非、ご覧ください。

◆◇ OutSystems e-book ◇◆
e-book:ローコード開発プラットフォーム製品選定のポイント大公開!!
     ~ エンタープライズ向け主要4製品の特徴を解説 ~
概要  :昨今話題のローコード開発プラットフォーム製品について、
     エンタープライズ向け主要4製品の特徴や製品選定のポイントを解説したe-bookです。
URL  :https://inv.dentsusoken.com/lp/ebook/lcdp_outsystems_2

また、以下のブログも併せてご覧いただくことで、より理解が深まります。

◇◆ OutSystems ブログ!! ◆◇

本記事は、2022年2月28日時点の情報を基に作成しています。
製品/サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
https://itsol.dentsusoken.com/outsystems/inquiry/