複雑化したデータ連携・帳票運用からの脱却
BusinessSPECTRE+VisAPで内製化を推進、データ活用の柔軟性を向上

高機能性材料の開発・製造・販売を手がける株式会社巴川コーポレーション。同社は、SAP ERPECC6.0)からSAP S/4HANAへの移行を契機に、BIプラットフォームBusinessSPECTREとフロントエンドBIソリューションVisAPを導入し、SAP BWで運用していた帳票約110本を移管。データ連携基盤のブラックボックス化を解消したことで、データ活用の柔軟性が向上しました。さらに電通総研の技術支援のもと、外部に依頼していた帳票開発やエラー発生時の課題解決なども自社で対応できる体制の整備を進めています。

写真左より 株式会社巴川コーポレーション 業務本部 情報システムグループ システム開発チーム 森田 優己 氏、業務本部 情報システムグループ システム開発チーム 主任 丸山 仁史 氏、
 業務本部 情報システムグループ システム開発チーム 主任 大多和 努 氏、業務本部 副本部長 情報システムグループ グループマネージャー  村上 直人 氏

企業プロフィール

1914年の創業から110年にわたり、電気絶縁紙を原点に時代と産業の変化を捉えながら技術に磨きを続け、社会の発展に寄与してきた。抄く・塗る・貼る・砕くの技術を活かし、「半導体・ディスプレイ関連事業」「機能性シート事業」「トナー事業」「セキュリティメディア事業」を展開している。
高機能性材料の提供にとどまらず、モジュール化、部品化、装置化まで手がけ、「その手があったか」の感動を産む「提案型ソリューションパートナー」を目指している。
https://www.tomoegawa.co.jp/

BusinessSPECTREVisAPを採用し SAPデータ分析基盤を刷新

巴川コーポレーションでは2007年のSAP ERP導入以来、SAP Business Warehouse(BW)をデータ分析基盤として活用してきました。しかし、SAP ERPからSAP BWへのデータ連携、加工処理がブラックボックス化するとともに、メンテナンスの負荷が高まり、データのリアルタイム性確保も課題になっていました。「データ連携でエラーが発生した場合は外部に対応を依頼していたため、復旧まで23日を要していました」と業務本部 副本部長 情報システムグループ グループマネージャーの村上直人氏は語ります。

ブラックボックス化の影響は帳票にも及び、情報システムグループ システム開発チーム 主任の丸山仁史氏は「帳票出力に必要なデータが取得できないと問い合わせがあっても、SAP BW内で帳票項目の編集処理が複雑に構成されていたため、データの源泉特定に苦労していました」と振り返ります。

同社はSAP ERPECC6.0)のサポート終了を見据えて、SAP S/4HANAへの移行と同時にデータ分析基盤の刷新を検討し、BusinessSPECTREVisAPを採用しました。決め手となったのは、データ連携の容易さとSAP BWからの豊富な移行実績です。提案段階で電通総研が帳票の一部を検証し、移行イメージを提示した点も評価しました。

SAP ERPからのデータ取得に関する電通総研の知見と実績は群を抜いており、丁寧な説明で移行のイメージを描くことができました」(村上氏)

帳票を約110本に絞り込み 順次VisAPに移行

同社は2024年4月からBusinessSPECTRE+VisAPの導入と帳票の移行・開発を進めました。約500本あった既存の帳票を精査して110本まで移行対象を絞り込んだ上で、優先度の高いものからVisAPに移行。

情報システムグループ シニアスタッフの植田睦氏は次のように語ります。
「複数の部門が帳票を利用しており、さらに各部門の要望に応じて開発した派生帳票も多く、全体像の把握が難しい状況でした。そこで重要度や代替手段の有無などを踏まえ、段階的に移行しました」

開発は、VisAPでも可能な限り既存の帳票を再現できるよう進めました。情報システムグループ システム開発チームの森田優己氏は「SAP BW環境の仕様が複雑で、VisAPで同じロジックで作成しても数値に微妙なずれが生じたため、原因を探りながら解決していきました」と語ります。

また、SAP S/4HANAとBusinessSPECTRE間のデータ連携では、移行元であるSAP BWの仕様解明が鍵だったと、情報システムグループ システム開発チーム 主任の大多和努氏は語ります。
「SAP BWの仕様書が社内に残っていなかったため、リバースエンジニアリングで読み解いていきました。苦労はしましたが、電通総研と二人三脚で仕様を読み解いたことで、スキルの向上にもつながりました」

プロジェクトはSAP S/4HANAへの移行と並行して進められたため、工程管理も重要でした。その中で、SAP S/4HANA側で実際原価方式への転換に向けた品目元帳の導入プロジェクトが立ち上がり、原価関連帳票の新規構築が必要となりました。SAP S/4HANA側に品目元帳の機能を実装しても、それを分析するデータ基盤と帳票が対応しなければ意味がありません。そのため、SAP S/4HANAへの移行と足並みを揃えた原価管理関連帳票の開発も並行して行われました。

電通総研からは、VisAPを用いた帳票開発に関する技術講習の実施やドキュメントの提供、質問への迅速な回答など、密なコミュニケーションによる伴走支援を受けました。
「今回は内製開発体制の整備も重要なミッションでしたが、電通総研からリモートで頻繁に連絡が取れる環境のもとで、各種ナレッジの提供をはじめ手厚くフォローいただきました」(植田氏)

データ活用リテラシー向上とデータ構造の整備により
真の意味でのBIツールとしての活用へ

巴川コーポレーションは、2026年4月からBusinessSPECTRE+VisAPによるデータ分析基盤での運用を開始。SAP BWからの移行によって、データ活用の柔軟性は大きく向上。1つの帳票から自由に切り口を変えて分析できるようになり、派生帳票を新たに作成する必要がなくなりました。性能面でも改善が見られ、帳票作成時間が短縮されています。

「数十秒から数分でデータ取得が可能となり、処理速度の向上を実感しています」(森田氏)

内製化も進めており、SQL Serverベースでデータを扱えるため、他システムとの連携にも社内で迅速に対応できる点を丸山氏は評価しています。また、外部ベンダー依存からの脱却を図るため、情報システムグループでは今後も技術習得を進め、新規開発やトラブル対応にも積極的に取り組む構えです。

村上氏は次のステップとして、ユーザーリテラシーの向上とデータの整備を進め、真の意味でのデータ分析の実現を目指していく考えです。
「SAP S/4HANAのデータを活用して現場や経営層の意思決定を後押しするダッシュボード基盤へのデータ連携を構想しています。電通総研には、引き続き当社のデータ活用を進化させるための支援に期待しています」

公開日:2026年6月

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